2006年4月16日(日)放送「NHKスペシャル|汚された大地で~チェルノブイリ20年後の真実~」を数回にわけて文字に起こした。
今回は第5回目(最終回)。子どもの先天的な病気が、親の生殖細胞の突然変異によっておきた割合についての調査結果が伝えられています。
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このエントリーは、以下のエントリーの続きです。
『NHKスペシャル|汚された大地で~チェルノブイリ20年後の真実~』(文字おこし)(4)……400キロ圏セシウム低線量被ばく、癌・白血病の実態
(文字おこし、続き)
先天的な子どもの数も調べました。ベラルーシでは以前から先天異常の研究が行われていたため、事故前のデータがあります。調査の結果、事故後、先天的な病気を持つ子どもの数がおよそ2倍に増えていることがわかりました。
IAEAは事故による遺伝への影響を一貫して認めていません。
発見と報告の制度が整備されたことで、先天的異常の子どもの登録数が増えたとしています。
二人は新たな調査を始めています。
ベラルーシ各地で生まれた、先天的な病気を持つ137人の子どもとその親の染色体を調べたのです。
子どもに見られる血液の細胞の染色体異常が、
親にも見つかれば、親にも先天的な病気がある。
それが受け継がれたものと考えられます。
親に染色体の異常が見られない場合は、被ばくを含む何らかの理由によって、親の生殖細胞の染色体に突然変異が起きたと考えられます。
その突然変異の割合を、汚染地とそれ以外の地域で比べました。
子どもの先天的な病気が、親の生殖細胞の突然変異によっておきた割合は、汚染の殆ど無い地域では68%。
これに対して汚染地では89%に達しました。
調べた親子の数はまだ少なく。二人は更に調査が必要だと考えています。
「数ない線量で染色体が異常があって、それが次の世代に伝わって、染色体の疾患、異常じゃなくて、異常が伝わって疾患が生じるわけで、それは十分に考えられうることで、」
「これはもう……長期にわたって観察しないと、結論がまだ出せない、という段階、だと思います。」
佐藤さんはラジューク博士と共に、調査で染色体の異常が見つかった人たちと交流を続けています。
この日は首都ミンスクのアパートに暮らす、ある一家を訪ねました。ビクトル・マシコさんの家族です。
マシコさんの3人の子どもと甥と姪、合わせて5人のうち4人に染色体の異常が見つかっています。
一家はチェルノブイリから60キロのゴメリ州ナローブリャに、5年間住んでいました。大量のセシウムが撒き散らされた地域です。
長女のオリガさん、20歳。生まれて6ヶ月の時事故が起き、5歳まで汚染地で暮らしました。このアパートに移った後血液細胞に染色体の異常が見つかりました。
「これがオリガです。事故から5日後に撮った写真です。」
「人生の中で最悪の日ですよ。」
「この日まで事故のことは何も知りませんでした。」
「メーデーでバンザイって叫んでましたよ。」
文字「ビクトル マシコさん」
「私たちは5年間、汚染地帯に暮らしていました。ですから娘たちの子ども、更にその子どもに何かが怒るかもしれません。何も異常がないことを祈るだけです」
血液細胞の染色体異常は遺伝に直接つながるわけではありません。健康にも今のところ問題はありません。しかし幼い頃、5年間被ばくしていたという事実はオリガさんに重くのしかかっています。
「傍目には元気に見えるかもしれませんが、忘れることは出来ません。」
「放射能、事故、そこからは逃げられないんです」
佐藤さんの妻は、原爆の被ばく者です。同じ不安を抱えてきた広島の被ばく者のことを話すなどしてオリガさんのことを支えています。
文字「佐藤幸雄さん」
「この家庭もね、特に、明るく生きていこうという前向きの姿勢は共感ができますが、しかしそれだけに、裏に背負ったものがあるだろうと。」
「20年はひとつの節目ですけど、別な視点で見ますと、今からがまた様々な問題の始まりっていいますか。そういった子供さんが成長してまた次の世代に移っていくという意味では。今から新しい問題が始まっていくと思います」
文字「IAEA(国際原子力機関)」
去年9月、IAEAが出した報告には会議に参加した各国の専門家や公的機関から異論が相次ぎました。
文字「改訂版」
批判を受けたIAEAは、先月改訂版を発表しました。何箇所か修正が加えられています。
癌による正確な死者の数は、推定が不可能とした上で、リクビダートルの死者を50人としていた記述を、現在把握している人数は、50人、と改めました。
白血病については、増加している証拠を掴むのが到底無理だという表現が削除され、
かわりに、調査を継続すべきだという一文が加えられました。
遺伝的な影響についての記述には代わりがなく、この程度の線量では起こりえないとしています。
文字「ウクライナ キエフ」
リクビダートルが暮らすウクライナのアパートです。
この日も癌でなくなった住人の葬儀が行われていました。
文字「ベラルーシ ゴメリ」
ベラルーシ・ゴメリの被ばく者専門病院。この3ヶ月で15人が白血病でなくなりました。
ブラフコさんの病状は更に悪化しています。一切の面会は謝絶。正常な白血球は殆ど失われていました。
妻のナターシャさん。意思から助かる見込みは殆ど無いと告げられていました。
文字「声:ブラフコさん」
「話すこともほとんで出来ないんだ」
「のどが痛いし」
「窓も開かないのに なんでおれは かぜをひくのかな」
「でも 前を向かないと もがかないと おぼえれていまうからな」
「生きたいよ 家族のために」
人類史上最大の核汚染、チェルノブイリ原発事故から20年。事故の幕引きの動きがある中、真実を突き止めようとする医師たちの治療と研究が続いています。500万人の被ばく者に何が起きているのか。明らかにされるのはこれからです。
「取材協力 放射線被爆者医療国際協力推進協議会」
「今中哲二」
「カタログハウス」
「ジュノーの会」
「チェルノブイリ支援運動九州」
「ディレクター 横井秀信 佐藤賢治」
「制作統括 井上恭介 石川一洋」
(文字おこし、終)
(関連エントリー)
『NHKスペシャル|汚された大地で~チェルノブイリ20年後の真実~』動画5本&文字おこし・総まとめ
(関連書籍)
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