元オウム教団幹部　野田成人のブログ

◆ＡＫＢか、高橋か

　マスコミはオウム逃走犯高橋克也容疑者の追跡劇で盛り上がっている。扱った報道は２０％近い視聴率になるらしい。警視庁も街頭に５０００人動員し、新たな手配画像や逮捕につながる情報を次々とだしている。

　正直、警察もマスコミも、一緒になって騒いでいる国民も、何を考えているのか本当に「暇だね」。元オウム幹部という立場を棚に上げて言わせて頂く。高橋容疑者がサリンでも持っているなら大変だが、そのような危険性はない。オウム逃走犯も蓋をあければ、ごくごく普通の生活を送っていたことは、平田・斎藤・菊地逮捕で証明済み。いやむしろすぐに退職してしまう最近の若者などより、余程真面目で周囲の信頼を得る仕事ぶりという評価も。

　勿論危険がないからと言って逃げ続けて良い話ではない。逃げ得だと服役している者とのバランスが取れないし、被害者遺族の感情もある。とはいえ「たった一人の逃走犯の捕り物劇でここまでやるか？」という思いは禁じ得ない。

　小生はこの背景に、先が見えない現代の閉塞感があると思う。誰もが将来に不安を抱えているが、それ穴埋めするために、少なからぬ国民がこの大捕物を見守っている、と。「このオウム逃走犯が捕まれば世の中がよくなる」と思っているわけではないだろうが、不安を補償するもの、という意味。

　そのように思ったのは、ＡＫＢ総選挙に関する為末大氏のツィート。ＡＫＢ総選挙は埋め尽くされた日本武道館で行われ、ＮＨＫのニュースでも報じられた。この社会的熱狂は何なのか、という件。以下勝手に引用。

「僕達は究極の所、自分に自信が無いんだと思う。所謂自信が無いという事ではなくて、自分という確かな存在がここにあるという事自体に不安があって、それをいつも反応で確かめておかないと自分がまるで社会にいなくていいような気分になる。自分が影響を与えているものは何か安心をもたらしてくれる。」

「【終わり】僕は誰かに影響を与えている、誰かに必要とされているという感覚を人々が持てなくなる事は社会を危うくすると思っている。人は影響し合っているのは間違いないのだけれど、それが実感できない為に自信を失う人が多い。そういう社会の虚しさをAKBは埋めてくれているのではないかと僕は思う」

　ほぼ全ての価値観が「お金」に駆逐された現代で、生き甲斐を見いだせない日本人。プラスの感情で喪失感を穴埋めするのがＡＫＢ、マイナス感情で穴埋めするのが高橋容疑者、ということではなかろうか。

　未来が不安なら、今ヨーロッパで進行中の出来事をよくよく観察しておいた方がよっぽど為になる。ヨーロッパの２０−３０代若者の失業率は、軒並み２０％以上と高い。スペインは５０％と半数が失業中。投資資金が欧州の国債から逃避してきて、日本国債はバブル状態にある。これがはじけると、今の日常は一変する可能性がある。ＡＫＢ・高橋で騒ぐくらいなら、拙ブログの硬貨のタンス預金でも研究した方がマシ。

　それにしても何故ＡＫＢを国民的話題にするのかが、小生には分からない。そもそもＣＤが１００万枚売れたとして、一人何枚買わせているのか？一人で毎回１０００枚くらい買って、ＡＫＢに２０００万円程使った人間が、夕方ニュースで「神」と紹介されていた。国民の何パーセントかは、それを呆れてバカにしてみていたはずだ。バカにされる者の代名詞になるとは、「神様」も地に落ちたものだな。。。

◆おまけ

　くだらなさ過ぎて思わず爆笑した記事

　菊地直子のＡＫＢ総選挙ランキングは……