国会事故調:「全員退避は官邸の誤解」…東電側証言なし
毎日新聞 2012年06月09日 08時59分(最終更新 06月09日 09時21分)
東京電力福島第1原発事故の原因などを調べている国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は8日、東電の清水正孝前社長を参考人聴取した。菅直人前首相らが事故直後、原発からの「全員撤退」を東電側が伝えたと主張している問題について、黒川委員長は記者会見で「東電は撤退という言葉を使っていない。現場は一貫して原子炉の問題に取り組んでいた」と述べ、全員撤退は官邸の誤解だったという見解を示した。清水氏は質疑で「全員撤退は思ってもいない」と否定しつつ、「コミュニケーションギャップを埋める余地があった」と意思伝達の問題を認めた。
国会事故調の調査によると、東電は11年3月14日、2号機の原子炉圧力が上がって注水できなくなり、危機的な状況が続けば事故対応要員を残した退避を検討。全員撤退について、黒川委員長は会見で「東電は現場でも本店でも『撤退』という言葉を使っていなかった」と述べ、東電側から撤退を示す証言や資料は得られなかったことを明らかにした。