こんにちは、検索ランキングのイケミーです。
長らくお待たせいたしました、本日はその3をお届けしたいと思います。こちらの記事は2月12日に配信した記事「「『続きはウェブで!』の最強キーワードを探せ! その1」、3月4日に配信した「その2」の続きになります。未読の方は先にそちらの記事をごらんのうえ、お読み下さい。では!
*****以下続き*****
さらに大切なこと......それは「モバイル」の存在です。
テレビの視聴率が上がると検索の使用率が下がるというのは、以前の記事でもお伝えしたことがありますが、やはりテレビを見るかネットを使うか、完全に切り分けている人が多いと思われる中、前項でも紹介したように、CMでキーワードを表示した直後にパソコンですぐ検索という人はまだまだ少ないということを実感させられました。しかし、あきらめてはいけません。そこで思い出していただきたいのがモバイルの存在なのです。
テレビを見ながら検索することが出来る簡易パソコン、それが手元にあるなら話は別です。パソコンとテレビの同時使用は難しいですが、テレビを見ながらでも手元に携帯があるなんてことは珍しくありません。そして、携帯を利用しなれている世代にとって、気になったことを携帯で検索するということは、それほどハードルが高いことでもないようです。
それを裏付けるグラフを。
ある清涼飲料水のCMで表示されたキーワードの「PC」と「モバイル」の検索数比較、
そして、女性向けカルチャー系CMでのキーワード比較
一目でモバイル端末からの検索数がPCからと比べても少なくない数だとわかります。上記のグラフでは単純に約3~4人に1人はモバイルからアクセスしていることになりますが、もし特設サイトをパソコンブラウザ用しか用意してなかったらとしたら、その分迷子のユーザーを作ってしまう結果になってしまいます。
ただ、モバイルからの検索比率はCMのターゲットによって上下するようです。携帯向け商品、学生向けなど若い世代向けCMは特にモバイルからの検索比率が高くなる傾向が見受けられます。テレビを起点とするキーワードに強いというのはモバイル検索の特徴ですが、その一方でキーワード型CMではモバイル検索のほうは軽視されたり、そもそも誘導予定に入っていないことも散見されます。訴求したいユーザー層をイメージして的確な入り口を与えてあげることは非常に重要です。
以上、「続きはウェブで」型CMのキーワードで気をつけなければならない事例を述べてきました。最後に「では、いったいどんなキーワードが最強なの?」という話をしたいと思います。
なお、断りを入れておきますと、この記事で扱っている「最強」というのは、出せば必ず人が集まるという意味での「最強」ではなくて、いかにスムーズに(間違えることなく)誘導できるか、という意味での「最強」ですので、お間違えなく。
最強キーワードへの道
・ワードは直球で
"特別な"キーワードを設定しようと思うと、ついついちょっとひねったり人と違う個性的なキーワードを設定したくなりがちですが、そこはぐっと堪えてもらって、素直なキーワードをつけるのが、誤検索を防ぐ最善策になります。英語、ドメイン、作り文字、当て字、記号、半角空きなどは検索する人たちのハードルを上げてしまう可能性があります。
・文字数は出来るだけ少なく
検索ワードは短ければ短いほどよい、なんていわれなくても皆さんわかっているとは思いますが、なかなかこれが難しいということも承知していると思います。ただ、検索の過去のデータからキーワード型CMの場合、7~8文字を境に誤字や揺らぎなどが増えているあたりはポイントとして覚えておいても損はなさそう。特にURLをそのまま表示する場合、覚えてもらうのは至難の業です。
・迷わない変換を
全部ひらがな、全部漢字、全部カタカナなどキーワードがひとつの表記になっているほうが、過去の例から誤検索が少ないように感じられます。よって、ユーザーが変換の際に迷わないような言葉を設定するのは非常に重要なことと言えます。
キーワードが「ベートーベン」なら、後日検索しようとしてそのキーワードを思い出すときに、ほとんどの人は迷わず"カタカナ"を選択し、「べーとーべん」や「Beethoven」とは入力しません。そしてこれは未知の造語にも当てはまります。例えば、テレビ画面を見ていなくても、音声として「つづきは"りぶどら"で」なんて声が聞こえてくれば、ユーザーは意識せずにカタカナで「リブドラ」と検索します。なぜなら、たとえ聞いたことがない言葉でも音韻が自然とカタカナを想起させるものであればカタカナとして打つ傾向にあるからです。これが聞こえてきた音声が「きーわーどは"ごひゃくたま"で」なんて場合だと、音しか覚えていないユーザーには「5百玉? ごひゃくたま? ゴヒャクタマ?」と迷わせる結果になってしまうようです。これが、その1で取り上げた誤誘導を防ぐ一工夫という点ですね。ユーザーが思い出した時に迷わず誘導できるキーワード、なかなか難しいですが、ポイントとしては大切な点なのです。
・携帯でも打ちやすい
CMのターゲットによってはモバイルからの検索が多いことは上記のとおり。とはいっても、やはりモバイルはパソコンと違って制約が多いもの。「ワードは直球で」でも示したことが、ここにもつながります。なお、通常検索とモバイル検索の上位1000ワードを比べた時、英単語の数はモバイルでは通常の半分になります。このあたりの深い調査は今回行っておりませんが、携帯で英単語は避けられる傾向にあるのかもしれません。
・「続きはウェブで」に過信は禁物
ついつい使ってしまいがちな「続きはウェブで」。同様のパターンとして「詳細は」「詳しくは」といわれても、なかなかユーザーは検索してくれないようです。これはおそらく、使い古されたフレーズによる慣れの性だと思われます。気になれば検索するし興味がなければ検索しない。「続きはウェブで」という言葉に、すでにネットへの誘導牽引力(けんいんりょく)はなくなっているのかもしれません。訴求する場合は、はっきりとウリを訴えましょう。
上記の点に気をつければ、誤検索や迷子のユーザーも相当減るのではないかと思われます。ただし、このポイントから外れていたからといってもちろん間違いではありません。ここに当てはまらないキーワードでものすごい検索数を記録しているものもたくさんあります。極端なキーワードを設定しないためのチェック項目程度に捕らえていただければと思います。
さて、最後にこの調査をして感じたことを。
「さっきCMで見たあれ気になる! けどキーワードを思い出せない!」なんてことよくありますよね。検索の世界にも当然そのようなユーザーの行動は現れます。
「キーワード」と「CM出演タレント」の検索数推移グラフ
「キーワード」と「製品メーカー名」の検索数推移グラフ
上のグラフを見ていただくと、CMのキーワード以外にもメーカーやタレント名がキーワードの検索数と連動して上下していることがわかります。つまり、キーワードが思い出せないときは、CMを思い浮かべて思い出しやすい特徴的な単語からも検索されているのです。今までは「キーワード」をいかに正しく検索してもらって誘導の入り口へいざなうかという考え方で話を進めてきましたが、実はこちら側にも第二の誘導口があることがわかります。キャンペーン中はちゃんとメーカーのトップページのわかりやすいところに特設サイトへの誘導を設ける、タレントのサイトにも期間中はキャンペーンの入り口をちゃんと告知する。こういった地道なことが、結果的に迷子を作らない、奇麗な誘導へとつながっていくわけです。
数多くのキーワード型CMを見ていて思いましたが、非常に奇麗でクオリティの高い特設サイトを作っているにもかかわらず、告知の仕方一つで魅力を伝えきれずに終わってしまっている、もったいないものも少なからずありました。こういったことは、ネットが築いていく世界を愛してやまない私としては、非常にもどかしくもあり、歯がゆくもあります。今回のコラムは一人でも多くの人に検索の仕組みと特徴を共有し、少しでもスムーズに要求と答えが結びつく世界への一助になればと執筆したものです。今後ともこのような話題を発信していければと思っておりますので、Yahoo!検索をなにとぞよろしくお願いいたします。
それでは、また!