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【転機 話しましょう】(66)経済人類学者の栗本慎一郎さん 何事も楽しさ見いだして 左半身まひ…リハビリ乗り切り活動再開
--日本の知識人で注目している人は?
「ちょっと思いつかないね。故人なら、この間亡くなった吉本隆明さんかな。生前、何回か対談したことがあります」
--吉本さんの魅力は?
「吉本さんは(難解で知られる独哲学者の)ヘーゲルを読むところから出発していて、文章は多少しつこいところがあるけれど、ヘーゲルなんかよりずっといい。それは、言いたいことがあってのしつこさだから。今のフランス思想なんて、商売としてよく分からないことを言って、人をけむに巻く。全然面白くないですよ。文章がぐちゃぐちゃ難解なのは、結局書いている人間がよく分かっていないんです」
--先生にとって思想とは?
「この世界は何なのか、この時代はどんな時代か、生きるためには嫌でも考えなければならない。そんな血肉でできた思考が思想です。私も70(歳)です。思想家たらんとして思想を語る、そんな商売としての思想はもう読みたくないね」
〈くりもと・しんいちろう〉昭和16年、東京都生まれ。慶応大経済学部卒業、同大大学院経済学研究科博士課程修了。奈良県立短大助教授、明治大教授などを歴任し、平成5年に衆議院議員に初当選(2期)。9年、橋本龍太郎内閣で経済企画政務次官に。11年に脳梗塞で倒れたが、リハビリ生活を経て活動を再開した。23年、有明教育芸術短期大学学長に就任。著書は「パンツをはいたサル」など多数。
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