検定試験テキスト −ゴム取引の基礎知識−
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第8章 参考資料
第1節 用語解説
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アクリロニトリル
化学式CH2=CH-C≡Nで表わされる無色透明で特有の刺激臭のある液体。アクリル繊維や合成樹脂の原料として利用され、ブタジエンと重合して得られる合成ゴムとして、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)がある。NBRは、アクリロニトリルの含量によってゴムの性能が決まり、アクリロニトリルを多く含むものほど耐油性、耐熱性が高くなり、ブタジエンが多いほど耐寒性が向上する。耐油性があることから自動車用部品、オイルシールなどに利用されている。 -
RSS(Ribbed Smoked Sheet)
リブドスモークドシート。ゴム樹から採取したゴム液を凝固させ、シート状に圧延したものを燻煙して仕上げる。天然ゴムの代表品種で、目視により最上級1X号から以下1号、2号、3号、4号、5号まで6等級に格付けされる。 - イソプレン
分子式C5H8で表わされる炭化水素で、動植物の体内でも生成されるものであるが、工業的には、ナフサなどの熱分解の副生成物として得られる。天然ゴムと構造が極めてよく似ており、イソプレンを重合して作られるポリイソプレンは、合成天然ゴムと呼ばれる。天然ゴムに比べ、振動吸収性や電気特性が優れ、品質が均一、透明で色調が明るく、臭いも少ないといった特徴を有する。また、機械的強度が大きく、物性のバランスもよい。また、重合が行われる際の基質となる物質をモノマーといい、高分子(ポリマー)であるポリイソプレンの基本構造の構成単位として、イソプレンモノマーとも呼ばれる。 -
IR( Isoprene Rubber)
ポリイソプレンゴム。天然ゴムに最も近いといわれる合成ゴムで、イソプレンを重合してつくる。従来のゴムに比べて分子構造の規則性が極めて高く、弾性、耐摩耗性、耐熱性にすぐれている。 -
IRA(International Rubber Association)
国際ゴム協会。天然ゴムの生産流通、消費、各分野の業界団体によって構成される全世界規模の業界任意団体。設立は1971年。 -
IRCo(International Rubber Consortium Limited)
国際ゴム公社。天然ゴムの最大生産国であるタイ、インドネシア、マレーシアの3カ国が、現物買い付けや供給量の調整(生産量と輸出量の削減)を行うことでゴム価格の高値安定化を図り、もって生産者(とりわけスモールホルダー)の収入確保することを目的に設立した有限責任会社。ゴム買い付け機関であった旧ITRCo(3カ国国際天然ゴム公社)が2003年10月に転じたもの。 - インナーライナー
チューブレスタイヤにおいてチューブに相当する部分として、タイヤ内部に貼り付けられたゴムシート。気密保持性の良い素材が使われ、釘が刺さったときなどの急激なエア漏れを防ぐ役割を果たす。 -
ウィンタリング(wintering) 落葉期または減産期。
ゴム樹の落葉期。毎年1回2〜4月に落葉し、新芽が出る時期を指す。その時期と期間は地域や、その年の気象状況によって多少異なるが、最も北緯に位置する生産地である中国の雲南省・海南省が12〜2月、タイ、ベトナム、スリランカが1〜3月、マレーシアが2〜4月、インドネシアは地域が広いため特定の時期を指すのが難しいが、だいたい9〜11月となっている。落葉期の気候は乾期で雨量が極端に落ちる。タッピングしても、ほとんど生産が上がらないため、生産者は生産活動を休止するのが一般的。一般に、ウィンタリングから1ヵ月〜1ヵ月半程度ずれた時期を減産期といい、落葉期とは区別される。タイの場合、減産期は4〜6月が中心。減産する度合いは、その年々の天候状況にもよるが平均15〜30%。ウィンタリングの期間が長く減産の度合いが大きい場合をハード・ウィンタリングあるいはダブル・ウィンタリングと呼ぶこともある。需要タイトな期間が長くなるため、一般的に相場は上昇しやすくなる。 -
ANRPC(Association of Natural Rubber Producing Countries)
天然ゴム生産国連合。インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、シンガポール、スリランカ、タイ、インド、ベトナムの8カ国で構成する。1970年10月発足。 -
SMR(Standard Malaysian Rubber)
マレーシア産のTSR。 -
STR(Standard Thai Rubber)
タイ産のTSR。 -
SIR(Standard Indonesian Rubber)
インドネシア産のTSR。 - SSR(Standard Singapore Rubber)
シンガポール産のTSR。 - SCR(Standard China Rubber)
中国産のTSR。 - SVR(Standard Vietnamese Rubber)
ベトナム産のTSR。 - エステート(estate)
ゴム樹を栽培し、ラテックスを採取する生産農園のうち、40ヘクタール以上の規模のものをエステートという。多収量の優良樹への植え替えを定期的に行い、土壌の改良その他の管理も行きとどいて、単位当たりの収穫量が多い。国営のところが多く、タイではREO(Rubber Estate Organization=ゴム農園機構)が有名。 - SBR(Styrene-Butadien Rubber)
スチレンブタジエンゴム。合成ゴムの汎用銘柄で自動車タイヤに大量に用いられる。 - MRRDB(Malaysian Rubber Research and Development Board)
マレーシアゴム開発局。マレーシア産ゴムの研究開発業務を行う政府機関。 -
エラストマー(elastomer)
弾性のある高分子物質をいう。ゴム業界では、産業用素材として天然ゴムおよび合成ゴムのゴム類全般を指していう。 - エルニーニョ現象
太平洋赤道域の中央部(日付変更線付近)から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象。エルニーニョ現象の原因はまだよくわかっていないが、エルニーニョ時には、日付変更線から南米大陸にかけての赤道太平洋で平年よりも海面水温が高まり、西部熱帯太平洋では海面水温が平年よりも低くなる傾向がある。このような水温分布の変化が降雨の分布に影響して、地球全体に異常気象をもたらす原因となると考えられている。 -
オファー
売り出し値段。生産地の輸出業者が、買い手に対して売りたい提示値段のこと。 -
オープンマーケット(open market)
ディーラー、ブローカー等の中間業者を通じて売買契約、輸出船積みがなされる国際市場。 - カーカス
トレッド、ビードワイヤーともに、タイヤを構成する3要素の一つである。カーカスは、ゴムで被覆した繊維コードを貼り合わせ、層にして作られ、タイヤの構造を保持する骨格となる。カーカスがタイヤの中心から放射状に配置されているタイヤはラジアスタイヤと呼ばれ、カーカスを斜めに配置し、複数枚重ねているものをバイアスタイヤという。ラジアスタイヤは高速安定性、耐久性等に優れ、乗用車用タイヤのほとんどに使用されている。一方、ラジアスタイヤは乗り心地に優れ、トラック、バス用タイヤなどに使用されている。 -
カップ・ランプ(cup lump)
ゴムの樹液を採取するためカップをゴム樹にとりつけるが、そのカップの中で樹液が自然に凝固したものをいう。 TSRの原料である。 -
加硫
天然ゴムに硫黄を加えて熱すると、化学反応によって粘着性を防ぎ弾性も強化することができる。また、温度の上昇により可塑性も加わる。加硫はゴム製品の実用的価値を高めるので、加工工程中最も重要なものである。また加硫後のゴムを加硫ゴム、加硫前のゴムを未加硫ゴムという。チャールズ・グッドイヤーがこれを発見したといわれる。 -
緩衝在庫(buffer stock)
天然ゴムの安定供給をはかるため、国際協定に基づいて政府・民間より資金を拠出して在庫を保有する。現在のものは国際天然ゴム協定に基づくもので、在庫枠は55万トン(通常は40万トン、緊急時は15万トンの積増しを行う。)である。 - グリーン・ブック
米国ゴム工業会、米国ゴム取引業者協会をはじめ各国ゴム業界団体が承認した天然ゴムの品質包装の規格書。International Standards of Quality and Packing for Natural Rubber Gradesという。 -
合成ゴム(synthetic rubber)
石油化学コンビナートの一次製品エチレン・プロピレン、ブタン・プチレンからモノマーの重合体をつくり、精製した鎖状高分子合成物質。天然ゴム状の弾力を持っている。最も広く使われているのは、汎用銘柄のSBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)であるが、ほかにNBR(アクリロニトリル、ブタジエン・ゴム)、IR(ポリイソプレン・ゴム)、ネオプレン・ゴム、ブチル・ゴムなど用途に応じて種類は多い。 -
国際規格
天然ゴムの国際品質包装規格。各国の天然ゴム生産者、取扱業者、ゴム製品製造業者団体によって 採択承認された天然ゴム各品種等級の規格。「グリーン・ブック」に記されている。 -
国際ゴム研究会( IRSG:International Rubber Study Group)
ゴムの需給統計のとりまとめ、情報収集を行っている各国政府加盟の調査機関。1934年から活動していた国際ゴム規制機構(IRRS)の発展的解消を受けて、1944年8月に設立した。加盟国は17力国(2010年3月現在)で、日本、米国、欧州各国、タイ、インドネシア、マレーシアなどである。消費国と生産国の双方が加盟するゴムの国際組織としては最も影響力をもっている。活動の目的は、1.世界ゴム事情の研究、特にゴムの需給状況及びその見通しに関する研究、2.世界ゴム消費拡大を目的とした方策の考究、3.現在または将来における特別な問題に対する適切な対策を立案し、その問題に関する報告および勧告の加盟国政府への提出など。シンガポールに事務局がある。 -
サイドウォール
タイヤが最もたわむ部分で、スムーズに屈曲することで役割を持つ。タイヤの側面でタイヤサイズやメーカー名などが表示されている部分で、この部分が変形することで衝撃や遠心力への耐久性を発揮し、乗り心地や走行性能を左右する。柔軟で対候性、対老化性に優れた素材が使われる。 -
シッパー(shipper)
天然ゴムの場合生産地よりの輸出業者をいう。農園より集荷したシートゴム、クレープ類を選別包装するパッカー(packer)を兼ねることが多い。TSRの場合は、原料ゴムを加工する工場、プロセッサー(processor)も自ら輸出業務を行う。 -
新ゴム
ゴムの需給統計上、生産量及び消費量について天然ゴムと合成ゴムを合算したものをいう。合成ゴム使用比率は、合成ゴム消費量の新ゴム消費量に対する比率である。 - スチレン
スチレン(モノマー)は化学式C6H5-CH=CH2で表わされ、合成ゴムや合成樹脂の重合用の原料として利用される無色透明の液体。特有の強い臭いがあり、一般的には、原油やナフサなどから得られたエチレンとベンゼンを化学反応させてできるエチルベンゼンから、水素を取り除くという製法で造られる。 - スモールホールディング(small holding)
ゴム農園のうち面積が40 エーカー未満の小農園をいう。タイでは、このスモールホールディングの占める割合が全体の90%と高い。インドネシア、マレーシアは80%台。なおタイの場合、平均的なスモールホールディングの保有ゴム栽培面積は2.4haといわれている。また、スモールホールディングを保有する零細農民をスモールホルダーという。 -
ターミナルマーケット(terminal market)
消費地の工場向けの陸揚げ港をひかえ、生産地の一次市場と同様の役割を果たす集散地市場。 -
タイヤコード
タイヤコードとはタイヤ補強に使用されるコードのこと。タイヤのトレッド面の内側に入っている 繊維で、ゴムに覆われている。タイヤの骨格部分にあたり、タイヤの強度と耐久性を向上させる役割をもつ。 -
ダイレクト・トレード(direct trade)
天然ゴム市場において生産者(大規模農園、加工業者)と大口消費者(自動車タイヤメーカー等)との間で現物市場、中間業者を経由しないで契約される取引。 -
タッピング(tapping)
成長したゴム樹から樹液を採取するために樹皮の皮質部に切りつけを行うことをいう。樹の周囲の1/3〜1/4を毎日午前4時前後の早朝に切り、樹の表面を一定の期間で位置を変えながら切っていく。またタッピングする作業者のことをタッパーという。 - TSR (Technically Specified Rubber)
技術的格付けゴム。その形状からブロックゴムあるいはクラムラバーともいう。上級品はラテックス原料から、中級品はカップランプを主原料に作られる。需要家の要望により、USSを混入させる場合も多い。成型後にサンプルを抜き出し品質検査を行い、その結果により格付けするので技術的格付けゴムといわれる。米国を中心に、欧米で最も利用されており、日本でもタイヤメーカーの使用が増加し、年間輸入量の半分以上を占めるようになった。 -
ディッピング
ディッピングは「ドブ漬け」ともいわれ、タイヤコードの製造工程のひとつ。タイヤコードは、撚糸された有機繊維コードをすだれ織し、その織物を大型設備でラテックスにディッピングして生産される。 -
天然ゴム(Natural Rubber)
ゴム含有植物には様々な種類があるが、今日、栽培の対象となっているへベアブラジリエンシス種のゴム樹の樹液を原料として生産したゴム。加工された形状により、シートゴム、ペール・クレープ、ブランケット、クレープ、ブラウン・クレープなどに分かれる。これらとラテックス、TSRを総称して天然ゴムという。 - トレッド
タイヤの路面と接する部分をトレッドといい、トレッドパターンと呼ばれる立体的な模様が刻まれている。トレッドパターンはその形状によって、リブ型、ラグ型、リブラグ型、ブロック型等に分類され、雨に強い、駆動力・制動力が強い、走行騒音が低いなどといったタイヤの性能を特徴付ける要素となっている。 - トレッドコンパウンド
タイヤのトレッド部分に使用されるラバーコンパウンド。硬さの程度によってタイヤのグリップや自動車の燃費性能に影響を与える。 -
パッカー(packer)
農園、スモーキングハウス、加工業者、集荷業者等から入手したシートゴム、クレープ類を選別包 装する業者をいう。 -
ビッド
買い出し値。オファーに対し、今度は買い手が買いたいとする値段を提示する値段のこと。 -
ブタジエン
炭素数四個で二重結合二個をもつ鎖式不飽和炭化水素で、分子式C4H6で表される。2種類の異性体があるが、単純にブタジエンといった場合は、通常、1,3-ブタジエン(CH2=CH-CH=CH2)のことを指す。これは、無色・無臭の気体で容易に液化する性質を持ち、工業的には石油分解ガスからの抽出で得られ、様々な合成ゴムの原料となる。このうち、ブタジエン・ゴム(BR)は、ブタジエンのみの共重合体として作られる合成ゴムで、耐摩耗性、反発弾性、耐老化性、低温特性などに優れ、透明性も良く、代表的な汎用ゴムとして、卓球のラケット、タイヤのトレッド、サイドウォール、ベルト、ホース、その他工業製品に使用されている。 -
ヘベアブラジリエンシス
天然ゴム採取用に栽培されている大戟科に属する南米ブラジル原産の落葉喬木。近年はゴム樹液(ラ テックス)の流出の多い多産樹への品種改良が進んでいる。 - USS(unsmoked-sheet:未燻煙シート)
ラテックスを凝固させたものをローラーにかけて圧延し、型付けをした状態で未だ燻煙していないものをいう。 -
ラジアル・タイヤ
タイヤトレッド部分の内部を特殊な構造により強化し、走行安全性、耐磨耗性のほか、ロードグリップ、制動力など操縦性・安全性に優れた自動車タイヤ。乗用車タイヤの場合合成ゴム主体ながら天然ゴムの混入割合が大きい。 -
ラニーニャ現象
エルニーニョ現象とは逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象。エルニーニョと同じく世界の異常気象発生の原因となると考えられている。 - フィールドラテックス
ゴム樹から滲出する乳液状のゴム液のこと。フィールドラテックスのゴム成分量は、通常30〜40%である。 -
ラテックス(latex)
ゴム園から採取されたフィールドラテックスに凝固防止のため安定剤(アンモニア等)を加えた後、遠心分離機でゴム成分量を60%に濃縮したものをいう。
第2節 統計資料と情報入手先
情報入手先
株式会社東京工業品取引所
経済産業省
株式会社日本商品清算機構
日本商品先物取引協会
日本商品先物振興協会
日本商品委託者保護基金
日本商品投資顧問業協会
シンガポール取引所
マレーシアゴム取引所
上海期貨交易所
タイ農業商品先物取引所
タイゴム協会(TRA)
タイゴム研究所
マレーシアゴム製品輸出促進協会
インドネシアゴム協会(GAPKINDO)
中国ゴム工業会
国際ゴム研究会(IRSG)
国際ゴム協議機関(IRC)
日本ゴム工業会
日本ゴム協会
日本ゴム輸入協会
日本自動車工業会
日本自動車タイヤ協会
日本自動車販売協会連合会
日本二輪車協会
ゴム報知新聞
ラバー・ステーション
米ラバー・ニュース
米ラバー・ワールド
米エラストマー・ソリューションズ
欧州ゴム・ジャーナル