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わが家の味方「生命保険」

4.老後に備える生命保険

高齢化と少子化が進む日本では、将来の年金の支給額を減らさなければ、公的年金を維持することが難しくなっています。平成7年と平成11年の年金法の改正で、今後段階的に、年金支給額が減って、支給開始年齢も引き上げられることになりました。最終的には老齢基礎年金も老齢厚生年金もすべて、65歳から支給されることになります。

また、老人医療にかかる費用も年々増えているため、老人保健の自己負担額は今後も引き上げられていくでしょう。公的年金だけでは足りない生活費や、医療費の自己負担分などは、自分で用意しなければなりません。自分の老後に自分で備える「自助努力」が必要になってきているのです。

老後の不安について改善された点もあります。寝たきりや痴呆などで介護を必要とするお年寄りが増えていることから、介護の負担をみんなで支えるための「公的介護保険制度」が、2000年4月に新しくスタートしました。

この制度は、介護の必要度に応じた介護サービスを、1割の自己負担で提供するというものです。サービスを受けられるのは、基本的には65歳以上の人(第1号被保険者)ですが、40歳から64歳の人(第2号被保険者)でも、介護が必要になった理由が老化に起因する病気によるものなら、サービスを受けられます。

第1号被保険者の保険料は、住んでいる市町村ごとの基準額が適用され、所得に応じて基準額の0.5倍から1.5倍の間で上下します。第2号被保険者は加入している健康保険組合ごとに決められた保険料を払います。年金受給者は年金から天引きされ、健康保険の加入者は医療保険の保険料に上乗せされて、それ以外の人は市町村が徴収することになっています。

公的介護保険制度には、まだ解決しなければならない問題点もありますが、介護を社会全体で支える枠組みができたことは評価できます。

他人のケースではなく、自分の場合を考えよう

老後資金特集などと銘打った雑誌の特集記事をめくってみると「ゆとりある老後には月70万円必要」とか「退職までに5,000万円貯めよう」といった読む人によっては天文学的とも思える数字が並んでいます。生命保険文化センターの調査(2001年)を見ても、退職後に必要な生活費は月24万円、ゆとりある老後のためには37万円が必要とうたっています。

読者の皆さんにお願いしたいのは、これらの数字を鵜呑みにしないで欲しいということです。それぞれの数字は、一定の条件のもとに調査されたり計算された数字ですから、参考にはなります。しかし、あなたのために計算された数字ではないのです。現実的で実行可能なプランは、自分自身の生活と、経済状態に基づいたものでなければなりません。

退職後のマネープランを立てるには、最低、次のことを知っている必要があります。
(1)現在の生活費と、その内訳
(2)(1)をもとに試算した、退職後の生活費と、その内訳
(3)公的年金は何歳からいくらもらえるかの概算額
(4)退職年齢は何歳で、退職金はいくらもらえるかの概算額

仮に、現在の生活費が、月平均で35万円かかっていたとします。では、退職後は「ゆとりある生活のために余暇費を月10万円プラスして45万円」でしょうか。いいえ違います。現在の生活費から、退職までに払い終わる(あるいは退職金で残りを一括返済する)住宅ローン、退職までに独立する子どもの教育費、退職までに払い終わる生命保険料、老後のための貯蓄などを引いてください。これが退職後の生活費です。現在の生活費よりおそらく4割くらい少なくてすむはずです。

つまり、45万円くらい必要かなと思ってた生活費が実は25万円〜30万円で十分だったというわけです。

次に公的年金で、その内の「いくらくらいまかなえるのか」を考えます。平均的なサラリーマンで、妻が専業主婦だった場合、年金額は2人合計で約20万円ほどと考えていいでしょう(年齢、在職中の給料などによって違います)。必要額が月30万円なら、公的年金で不足する月10万円を、退職金やその他の預貯金などで準備することになるわけです。

これが、考え方の順序です。まずは、平均値でなく「自分の場合で考える」ことを身につけて下さい。

老後に備えるには、こんな方法がある

さて、次に公的年金だけで不足する額をどうするかが問題になるわけです。いくつかの方法があります。

(1)預貯金等で準備する
(2)家賃収入を得られる不動産などを手に入れる
(3)会社を退職しても収入が得られる道を準備しておく
(4)子どもに頼る

「子どもに頼る」というのは、非現実的で、あてにできないと考えがちですが、親の所有する土地を子どもの住まいのために提供するなどの条件で、土地代がわりに生活費の一部を出してもらう方法は、十分に現実的です。

最も一般的なのは、(1)の「預貯金等で準備する」という方法だと思います(年金保険もその一種です)が、それ以外にもいくつか方法があることを覚えておいて下さい。

なお、2001年には「日本版401k」とも呼ばれる「確定拠出年金制度」がスタートしました。税金面で優遇されるなどメリットがありますので、預貯金等で老後資金をつくるときにはうまく利用するといいでしょう。

日本版401kプラン・・・

「日本版401kプラン」とは、2001年にスタートした「確定拠出型年金制度」のことです。企業型は企業が従業員のために年金を積立てますが、積立て商品(運用商品)を、従業員本人が自分で選びます。積立金の運用次第で年金受取額が変わるのが大きな特徴です。アメリカで実施されている、同じタイプの年金制度の名称から、日本版401kとも呼ばれています。

個人型は、自営業者や会社に企業年金制度のない会社員が、一定限度額まで加入できます。