ご夫婦の定年後の最低必要生活費は月額24万円、ゆとりある生活費は月額38万円です。(生命保険文化センター調べ 2004年)
定年後(20年で計算)の生活費は、夫婦で約6,000万円〜約9,000万円必要になります。
そして、公的年金を考慮しても、約1,500万円〜7,000万円の自己資金が必要になります。
男性 79歳、女性 86歳の平均寿命(2008年 簡易生命表)で、女性は24年間連続で世界第1位、男性は世界第4位の長寿国の日本です。
また、政府発表によりますと、60歳まで生きた場合、男性 83歳、女性 88歳まで生きる可能性があります。これを「平均余命」と言います。
この様に、定年後は20年から30年あります。この期間をどのように暮らすかが大きな課題です。
その上、年金は65歳からでないと支給されません。60歳から64歳までは無収入の可能性があるのです。
長生きのリスクをどう回避するのかは重要な問題です。
<老後の必要資金額> |
定年後の生活費は、現在の生活費の70%が目安と言われています。
調査では、ご夫婦の最低必要生活費は月額24万円、ゆとりある生活費は月額38万円です。(生命保険文化センター調べ 2004年)
つまり、定年後20年とすると約6,000万円〜約9,000万円の定年後の資金が必要ということになります。
老齢年金があるので、老後資金のすべてを自分で用意する必要はありませんが大変な高額です。
長生きすればもっと必要になります。
<老齢年金受給金額の概算>
@老齢厚生年金の場合(40年加入、平均標準報酬月額35万円、専業主婦の場合)
ご夫婦で月額約23万円(ご夫婦同い年の場合)が、65歳から支給されます。
月額約23万円×15年間(65歳〜80歳)=約4,140万円が80歳までの総支給額になります。
80歳までの定年後の必要自己資金額は、
約5,800万円〜約9,100万円−約4,140万円=約1,700万円〜約5,000万円
「注意点」
厚生年金の場合、生年月日により支給開始年齢が変わります。
男性:昭和36年4月2日、女性:昭和41年4月2日生れ以降の人は65歳まで一切の厚生年金は出ません。
A老齢国民年金の場合(40年加入)
ご夫婦で月額約13万円(ご夫婦同い年の場合)が、65歳から支給されます。
月額約13万円×15年間(65歳〜80歳)=約2,340万円が80歳までの総支給額になります。
80歳までの定年後の必要自己資金額は、
約5,800万円〜約9,100万円−約2,340万円=約3,500万円〜約6,800万円
ご夫婦同い年の場合の老後必要自己資金額(老後20年で計算)
最低必要生活費 | ゆとりある生活費 | |
厚生年金 | 約1,700万円 | 約5,000万円 |
国民年金 | 約3,500万円 | 約6,800万円 |
自己資金が必要額より少ない場合は、働かざるを得ないのではないでしょうか。
厚生年金加入者、国民年金加入者いずれにしても年金は65歳にならないと支給されません。
もし、60歳で退職し就業しない場合、64歳までの5年間の生活費が必要になります。
概算で、ご夫婦で最低必要生活費は月額24万円×5年間=1,440万円が必要です。
退職金があれば対応できますが、近年退職金前払いの企業も増えてきています。
60歳までに、最低この1,500万円は用意しておきたいものです。
次に、問題はインフレです。上記の計算は、インフレを加味していません。
例えば、60歳時点で実質価値1,500万円確保するためにインフレ率 年2%で計算しますと、
現在年齢30歳の方は2,717万円、40歳の方は2,229万円、50歳の方は1,828万円が60歳時点で貯まっていなければなりません。
そこで、60歳時点で実質価値 1,500万円を貯める月々の積立額は、運用率により下記のようになります。
運用率 | 30歳の場合 | 40歳の場合 | 50歳の場合 | |||
月々の 積立金額 |
積立金総額 | 月々の 積立金額 |
積立金総額 | 月々の 積立金額 |
積立金総額 | |
0% | 75,472円 | 2,717万円 | 92,875円 | 2,229万円 | 152,333円 | 1,828万円 |
2% | 55,051円 | 1,982万円 | 75,486円 | 1,812万円 | 137,505円 | 1,650万円 |
5% | 32,511円 | 1,170万円 | 54,004円 | 1,296万円 | 117,233円 | 1,407万円 |
積立金額は、運用率により大きく変わります。インフレを考えると運用が必要です。
つまり、お金に働かせることが必要です。そして、運用には時間が必要です。
早く始め、お金に働かせることが重要です。
リバースモーゲージとは
マイホームを活用して、家を売らずに住み続けたままで現金を得る方法です。
つまり、保有不動産を担保にしてお金を借り、死亡時にこの不動産を売却して債務を返済する仕組みです。
借入限度額は、建物は評価せず土地の評価額のみが基礎になり、金融機関が評価し融資限度額が決まります。
よって、マンションは対象になりません。いくら高級マンションでもだめです。
受給方法は、定期的にもらう方法とまとめてもらう方法があります。
定期的にもらう場合は、申し込み時の平均余命が融資期間の目安になります。
例えば、70歳の男性なら15年が目安になります。
「適用金利」 「融資限度額」 「融資期間」をもとに月々の融資金額が決まります。
「適用金利」 「融資限度額」 「融資期間」が前提条件になるので、金利が上がったり、地価が下落したりした場合は「担保割れ」になるので融資額を調整することになります。
「担保割れ」になってしまった場合は、その時点で融資は打ち切りになりますが、土地の処分は死亡時まで待ってくれる場合が多いようです。
取り扱いは、一部の自治体や民間金融機関ですが、まだ数は少ないのが実情です。