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【東京】

孤独 脱走ペンギン 群れと離れて陸でたたずむ

3カ月ぶりに群れへ戻ったが、1羽でいることが多いフンボルトペンギン(上)=江戸川区で

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 葛西臨海水族園(江戸川区)から脱走、先月二十四日に捕獲された絶滅危惧種フンボルトペンギンの幼鳥。七日、三カ月ぶりに展示場に戻され「帰還ペンギン」となったが、群れと離れて泳いだり、プールから上がって孤独にたたずむなど、仲間にとけ込めない様子が目立った。同園はペンギンを見守りつつ、脱走防止に知恵を絞る。 (村松権主麿)

 「帰って来てよかったね」「おかえり」。展示場を訪れた人々から喜ぶ声が多く聞かれる一方、群れから孤立する姿を気遣う人も。「すぐに仲間入りできるか心配で見に来た」と言う女性会社員(32)は「緊張しているみたい。ペンギンにとって、捕まったのは残念だったのかも…」。

 午前のエサやりでは、離れて泳ぐ帰還ペンギンに飼育員が小魚をまとめて放ったが、素早く近寄った他のペンギンに取られ、ほとんど食べられなかった。

 坂本和弘副園長(51)は「まだ警戒心が強く、群れになじんでいないが、午後のエサやりでは群れに加わり、大きなアジをくわえていた。心配ない」と説明。ペンギンを捕獲した飼育担当の山本達也さん(26)も「他のペンギンから攻撃されておらず、落ち着けばとけ込むはず」と楽観的だ。

 それより同園の課題は再発防止。一昨年にも二羽が脱走。そのときは園内で捕獲したものの、「また逃げられたら、辞表もの」と園幹部。

 脱走経路は、モルタル製の擬岩(高さ一・二〜四メートル)をよじ登って越え、外側にある二つのフェンスと地面との隙間からすり抜けたとみている。応急対策として、擬岩の側面の出っ張りをなくして登りにくくし、上に金網を置いて乗り越えられないよう工夫。フェンスの隙間はプラスチックのネットでふさいだ。

 「見栄えはよくないが、不安なので仕方ない。低い擬岩の外側にネットを立てるなど、本格的な対策を検討する」と坂本副園長。また従来、年一回だった全百三十五羽チェックを月二回に増やす。

 

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