「原発事故対策取れない」57%6月8日 18時42分
福井県にある関西電力の大飯原子力発電所を巡って、30キロ圏内の自治体に、NHKが、事故に対する備えを尋ねたところ、現状では避難などで実効性がある対策を「取れない」とする回答が57%になりました。
自治体からは、事故から1年以上がたつなかで、国の防災に関する方針が決まらないことなどへの不満が多く寄せられました。
NHKは、関西電力の大飯原発を巡って、半径30キロ圏内にある福井県と京都府と滋賀県、それに市と町の14の自治体に、今月4日から7日までにアンケート調査を行い、すべてから回答を得ました。
まず、原発事故に備え、住民の避難などで実効性がある対策が取れるか尋ねたところ、「取れる」「どちらかといえば取れる」は、29%、「取れない」「どちらかといえば取れない」は57%になりました。
地元の福井県やおおい町は回答せず、別の原発がある福井県の美浜町や高浜町は「どちらかといえば取れない」と回答しました。
自治体からは「県や町の防災計画の見直し作業が進んでいないのが現状」、「未だに避難場所が決まっていない。国が責任をもって、広域行政に対して避難場所の選定に協力することを指示をすべき」など、事故から1年以上がたつなかで、国に対する不満が多く寄せられました。
続いて、防災対策の懸念について複数回答で聞いたところ、「避難の交通手段」が最も多く79%、次いで「避難先の確保」が57%、「避難道路などルートの確保」と「高齢者など弱者への対応」が43%となりました。
また、運転再開に向けた国の対応は十分かを聞いたところ、「十分」と答えた自治体はなく、「どちらかといえば十分」と答えたのは福井県美浜町のみで7%、「不十分」、「どちらかといえば不十分」と答えた自治体は64%になりました。
理由を尋ねたところ、「いまだに国民の中には国に対する不信感が残っている」「国民が納得できる十分な説明がされていない」といった意見が寄せられた一方で、原発がある自治体からは「冷静かつ現実的な電力の在り方を考えるべき」という意見も出ました。
さらに、大飯原発の運転再開について尋ねたところ、「早く再開を認めたい」と答えたのは、福井県の美浜町と高浜町だけで率にして14%、「当面、再開は認めない」、「今は判断できない」として、慎重な姿勢を示したのは、64%になりました。
このうち、福井県は回答せず、地元、おおい町は「今は判断できない」と回答しています。
運転再開について慎重な姿勢を示した自治体は、3か月前の3月の調査では72%で、3月の調査では慎重な姿勢だった京都府や滋賀県が回答しなかったことなどの影響で今回は減ったものの、依然、高い割合が続いています。
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