安全協定“立地自治体並み”認めず6月9日 6時3分
福井県の関西電力大飯原子力発電所を巡り、原発周辺の4つの市と町は、関西電力などと結んでいる「安全協定」について、原発が立地する自治体並みの「運転再開に同意できる」といった強い権限を盛り込むよう求めていましたが、電力事業者側はこれを認めない案を示すことになりました。
原発の「安全協定」は、いわゆる紳士協定として自治体と電力会社が結ぶもので、大飯原発が立地するおおい町の場合、トラブルが起きた際などに運転再開に同意したり、立ち入り調査をしたりする権限が盛り込まれています。
一方、原発周辺にある小浜市、若狭町などの4つの市と町の安全協定では、トラブルの連絡は来るものの、おおい町並みの強い権限は盛り込まれていません。
福島第一原発の事故で放射性物質が広範囲に広がったことから、自治体側は、関西電力や日本原子力研究開発機構などに対して、安全協定に強い権限を盛り込むよう求めてきました。
協議は1年ほど続いてきましたが、電力関係者によりますと、電力事業者側は自治体側に対し、強い権限を認めない案を示すことになりました。
電力事業者側は「強い権限の協定は、福井県やおおい町が認めない」としています。
「安全協定」を巡っては、各地の原発で、周辺の自治体が立地自治体並みの権限を求めていますが、要求どおりの締結や見直しが認められないケースが相次いでいます。
周辺自治体の反応は
福井県おおい町に隣接する小浜市の市議会の池尾正彦議長は、「原発の半径10キロ内に市民の7割が入る小浜市に対して、国も含めてどこからも考えや思いなどを聞かれたことがなく、大きな不満と疑問を感じている」と述べました。
そのうえで、池尾議長は「原発からの距離を考えれば、おおい町民の命も小浜市民の命も、皆平等であることを強く言いたい」として、小浜市として運転再開の判断に関わるのは当然だという考えを示しました。
また、細野原発事故担当大臣らが2度にわたって関西を訪れ、直接、運転再開への理解を求めたことについて、池尾議長は、「なぜ、遠くにある京都・滋賀・大阪に出向き、細かく説明するのに、われわれにはないのか。近くで暮らす小浜市民のことを真剣に考えてほしい」と述べ、関西同様に、小浜市に対しても政府からの説明が必要だとしました。
大飯原発から半径30キロ内に町のすべてが入る、福井県若狭町の森下裕町長は、「若狭町民の中には安全性に不安を持っている人がいると思うので、町主催の原子力に関する集会で、原子力安全・保安院や電力事業者の担当者から安全対策の説明を求めていきたい」と述べました。
一方、大飯原発の運転再開について、「原子力行政は国が一元的に責任を負い、判断を行っていくべきだ」としたうえで、「おおい町など、立地自治体が原発とともに歩んできた40年の歴史も十分理解する必要がある」と述べ、再開の判断は福井県とおおい町に一任するという考えを示しました。
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