東京電力福島第1原子力発電所の事故原因を調べる国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は9日、報告書作成に向けた論点整理を発表した。原発事故発生後、菅直人前首相(事故当時は首相)ら首相官邸内の初動対応を「オンサイト(発電所内)の事故対応に過剰介入したのではないか」と問題視し、政府に危機管理体制の見直しを求めた。
国会事故調はこれまでに菅前首相や事故当時官房長官だった枝野幸男経済産業相ら政府首脳と、東電の勝俣恒久会長、清水正孝前社長らを参考人として事情を聴いた。月内にも報告書をまとめ、国会に提出する。
論点整理では、事故発生後、政府の初動対応に遅れがあったとの認識を示した。原子力災害対策特別措置法に基づき、放射能漏れや電源喪失など事業者から事故発生の通報を受け「直ちに緊急時対応を実施する体制へと移行する必要があった」と総括。しかし、実際には「通報の重要性や意味合いを十分に認識できず、事故への初動に遅れが生じたのではないか」と指摘した。
菅氏ら官邸側の「過剰な介入」としては、福島第1原発の吉田昌郎前所長ら現場に状況を直接確認したことなどを挙げた。原子炉格納容器から気体を放出する「ベント」の遅れや海水注入の中断問題などを念頭に「官邸と発電所が直接やり取りする、本来法律が予定しない情報伝達があった」と批判した。
政府の現場介入を巡っては、3月14日に東電の清水前社長らが政府に福島第1原発からの「全面撤退」を求めたとされる問題が焦点となった。政府側が東電の申し出を現場から全員が避難する「全面撤退」だと受け止めたのに対し、国会事故調は「東電が全面撤退を決定した形跡は見受けられない」と結論付けた。
原発周辺の被災者に向けた情報発信でも政府対応の不備を追及。「政府が確実に確認できた情報のみを発信することに終始し、情報が限定的に伝わった」ため、「住民の避難に甚大な混乱と被害を引き起こしたのではないか」と疑問を呈した。政府の指揮命令系統を一本化するよう提案した。
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