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“南部理論”補う新しい公式6月9日 7時2分
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ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんが50年前に提唱した、宇宙の成り立ちを説明する理論の欠陥を補い、あらゆるケースに当てはめることができる新しい公式を、東京大学などの研究グループが作り、半世紀にわたる議論に決着をつけました。
南部さんが提唱した理論は、宇宙が誕生したビッグバンの直後に「自発的対称性の破れ」という特別な現象が起きて、物質が自由に飛び回れなくなり、物質と物質が結び付くことができるようになったというもので、この成果によって南部さんは平成20年にノーベル物理学賞を受賞しました。
しかし、南部さんの理論は絶対零度で真空中の場合には当てはまりますが、温度や密度がある場合、物質と物質の間を伝わる振動を数学的に説明しようとすると、間違った答えが出ることが多く、理論の欠陥をどう補えばよいか、半世紀にわたり議論が続けられてきました。
この長年の謎の解明に東京大学数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長らの研究グループが挑み、南部さんの理論が当てはまらないケースには、振動の伝わり方などに共通の特徴があることを突き止め、その特徴を入れて新しい公式を作ったところ、あらゆるケースについて説明がついたということです。
理論に欠陥があることは南部さん自身も指摘していて、今回の成果について、南部さんは「とてもよくできている」と納得のコメントを寄せているということです。
記者会見した村山機構長は「どんなケースにも当てはめることができるシンプルな公式を作ることができた。今後、宇宙の成り立ちを研究していくうえで重要な助けになる」と話しています。
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