名古屋大学などが参加する国際共同実験OPERAのチームは8日、昨年9月に発表した「素粒子ニュートリノの速さが光を超えた」とする実験結果を撤回した。見つかった実験装置の不備を直した再実験で、ニュートリノと光の速さに明確な差がなかった。物質は光速を超えられないとする現代物理学の定説を覆すと波紋を呼んだ結果は、装置のミスによるものと認めた。
京都市で開催中のニュートリノ・宇宙物理国際会議で報告した。会見した同チームは「自分たちで不備を見つけられたのはよかった。ただ、発表の前に気付けなかったのは残念」とした。
実験は、スイスのジュネーブ郊外の欧州合同原子核研究機関(CERN)から、約730キロメートル離れたイタリア中部のグランサッソ国立研究所に向けてニュートリノを発射し、到着までにかかった時間を計測。昨年の発表では、ニュートリノが光よりも1億分の6秒速かったとしていた。
しかしその後、実験で使った全地球測位システム(GPS)時計の光ファイバーの配線不良などが見つかり、時計が遅れたためニュートリノが実際よりも早く到着したように測定されたことが判明。今年5月に2週間にわたり再実験を行っていた。
名古屋大学、ニュートリノ、CERN
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