福岡市の「劇団ショーマンシップ」が、戦時中に東条英機政権に抵抗した同市出身の政治家、中野正剛(1886~1943)を描いた「午前零時の椅子」を、同市中央区唐人町の甘棠館Show劇場で上演している。12日まで。
舞台は、太平洋戦争真っただ中の1943年。新聞記者を経て政治家となり、日本の将来を憂いた中野は、早期終戦のために倒閣を計画。新聞紙上で「戦時宰相論」を発表して東条首相を批判し、退陣を迫るよう重臣会議メンバーの説得にもあたる。だが、工作は失敗に終わり、逮捕され、釈放後に自殺する。劇では、中野の最後の一日にスポットをあて、その志に迫った。戦時下の若者の恋愛模様も織り交ぜた。
同劇団は毎年、福岡の偉人を取り上げた歴史劇を手掛けており、一連のシリーズは今回で11作目。脚本を務める生田晃二さん(37)は「福岡は魅力的な偉人が多いが、意外に知られていない。戦時下に国のことを真剣に考えた政治家に学ぶことは多い。中野正剛を知らない世代にも見てもらいたい」と話す。
=2012/06/08付 西日本新聞朝刊=