民間病院と関電せめぎ合い 計画停電バトル、どちらが正論か (3/3ページ)

2012.6.9 11:00

節電のため、地下鉄のエスカレーターもストップした=平成23年3月17日、東京都中央区の東京メトロ銀座駅(矢島康弘撮影)

節電のため、地下鉄のエスカレーターもストップした=平成23年3月17日、東京都中央区の東京メトロ銀座駅(矢島康弘撮影)【拡大】

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 しかし、これには大阪市内の2次救急指定の民間病院院長が「日医が小さな診療所なども通電の対象とするよう求めてしまった。しょせんは開業医の利益団体だ」と苦々しげに語る。救急搬送の9割弱を占める2次救急施設だけでなく、すべての医療施設を対象にしてしまうと、国が重視している公平性が損なわれ、逆効果となるためだ。

 計画停電中の通電は配電線単位になるとみられ、通電対象の周辺では一般家庭にも電力が供給される可能性がある。このため、国は公平性を保つために通電対象を極力広げたくない方針で、関西電力の八木誠社長も5月28日の会見で「範囲をどうするかは、できるだけ公平にするよう国と相談している。一軒一軒コントロールするのは難しい」と述べている。

 こうした事情から、救急医療を支える責任と自負がある大阪府内の民間病院関係者は「せめて2次救急施設だけでも」と関電に要請を続けた。結果、6月に入り、関電の担当者から「2次救急は通電対象に入れる方向で検討している」との言質を取ることに成功。計画停電のスキーム(枠組み)はあくまで国が決定することから、同関係者は「関電が『検討している』と明言したということはほぼ決まりだ」と胸をなで下ろした。

 だが、喜んでばかりいられない。「大飯原発3、4号機のうちの1基しかフル稼働しない7月初めは電力が足らない。真剣に対応を考えないと…」。ある病院関係者はこう話し、厳しい表情をみせた。(南昇平)

  • 平成23年3月17日、大規模停電のおそれから帰宅しようとする人々で駅構内があふれ、入場制限が行われた=西武池袋線の池袋駅(栗橋隆悦撮影)

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