関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向け野田佳彦首相が8日、国民に必要性を訴えた。「本当に安全なのか」「現実的な判断」。兵庫で暮らす人たちの受け止めも分かれた。
神戸市中央区で会社を経営する男性(52)は「電力値上げや計画停電を考えると稼働せざるを得ない」と話す。一方で「再稼働ありきでは不信感が募る。政府や電力会社は全ての情報を開示すべき」とくぎを刺す。
神戸市須磨区の無職男性(76)も「経済の混乱を避けるため、一時的な再稼働はやむを得ない」とするが、「地震国日本で原発はどれだけ危険か。絶対安全と言い切れない以上、政府は段階的にでも脱原発の方向を打ち出すべき」と受け止める。
戸惑いの声もある。姫路市の会社役員の女性(44)は「原発の安全性は専門家でも言うことが違い、首相の見解が妥当なのか判断できないのが本音」。東日本大震災の復興を祈る作品を手掛ける宝塚市の美術家の男性(52)は「国民生活を守るためと言うが、節電に挑戦することの方が今の国民には重要。震災という負をプラスに変えるべきでは」と訴える。
福島第1原発から20キロ圏内の福島県富岡町から避難し、神戸市北区の市営住宅で子ども2人と暮らす女性(36)は「福島も福井も、地元経済と原発は切り離せない」と指摘。それに甘えて負担を押し付ける構図を「沖縄の米軍基地と一緒」と批判し、「エネルギーを浪費する社会こそ問い直すべき」と話した。
(2012/06/09 09:46)
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