クローズアップ2012:福井・大飯再稼働、16日にも決定(その1) 原発位置づけで難航
毎日新聞 2012年06月09日 大阪朝刊
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、野田佳彦首相は8日の記者会見で、福井県の理解を重ねて求め、原発を「重要な電源」と訴えた。ただ、西川一誠知事が首相に求めたのは、原発が「中期的」に重要だとアピールしてもらうことだった。政府方針の「脱原発依存」とは相いれず、調整は難航した。【笈田直樹、小山由宇、丸山進】
◇「基幹電源」対応苦慮
「記者会見だが、検討中で決まっていない。まだこの時点は」
藤村修官房長官は8日午前の記者会見でこう語った。そのうえで「今、地元と調整している」と、首相発言の内容を福井県側と調整していることを示唆した。首相会見が発表されたのは、藤村氏の会見後のことだった。
西川知事は4日、細野豪志原発事故担当相らと面談した後の記者会見で「原発は目先の問題ではないから、基幹電源としての必要性、国の経済への影響などあらゆることについて明瞭に言わないといけない」と要求。しかし、官邸はすでに首相が「原発は必要」と繰り返し発信しているとの立場で、対応に苦慮していた。
事態が動いたのは7日午後だった。ロシアから帰国したばかりの枝野幸男経済産業相に加え、細野氏らが官邸の首相執務室に入った。仙谷由人民主党政調会長代行も入り、大飯原発の再稼働をめぐる関係閣僚会合のメンバーが集まり、対応を協議した。