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2012年6月9日(土)付

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首相会見―脱原発依存はどこへ

原発政策を主題にした野田首相の記者会見は初めてだった。それが、こんな内容なのか。関西電力の大飯原発3、4号機を再稼働させる。停電が起きれば、命の危険にさらされる人が出る[記事全文]

高速会社人事―国交省は理由を示せ

高速道路4公団の民営化で誕生した6社のうち、5社のトップが代わる。4社は1期2年での交代という異例の人事だ。いずれも国が大株主であり、トップの認可権も持つ国土交通省が主[記事全文]

首相会見―脱原発依存はどこへ

 原発政策を主題にした野田首相の記者会見は初めてだった。それが、こんな内容なのか。

 関西電力の大飯原発3、4号機を再稼働させる。停電が起きれば、命の危険にさらされる人が出る。動かさないと電気代も上がる。企業や家庭に影響が出る。空洞化も加速する。首相は脅さんばかりに語った。

 さらに原発が重要な電源であり、夏場の限定稼働では国民生活を守れないと踏み込んだ。

 いったい、「脱原発依存」はどこへ行ったのか。

 根幹となる中長期的な原発政策について、首相は国民に選択肢を示し、「8月をめどに決めたい」としただけだ。

 当面、最低限の再稼働が必要と判断したとしても、中長期の方向性については揺らぎがないことを国民に説明するのが、首相がとるべき姿勢だ。

 新たな原発はつくらない。40年たった原発は廃炉にする。これまでさまざまな場面で首相や関係閣僚が言及してきた脱原発依存への具体的な道筋には一切触れなかった。

 これでは、政権の原発政策が大きく転換したと受け止められても仕方がない。

 会見は、福井県の西川一誠知事に押し切られた形で設けられた。地元同意の条件として、原発の必要性を首相が直接、国民に説明するよう求めたからだ。

 背景には、原発が減ることで地元の経済や財政が回らなくなることへの危機感がある。

 しかし、原発への依存度を減らしていくことは政権の大方針だったはずだ。そこに言及すると、地元が納得しないというなら、再稼働のほうをあきらめるべきだろう。

 福井県の姿勢にも、首をかしげたくなる。

 昨春以降、政府に新たな安全基準を示すよう求め、足元の安全対策を見直させた意義は大きい。これまで、さまざまな苦労を抱えながら、原発との向き合い方を模索してきた自負があることもわかる。

 だが、新たな原子力規制機関ができるまでの監視態勢に、福井県以外の周辺自治体を同列に参加させないことを再稼働の条件にする、とまでなると、度を超している感は否めない。

 京都や滋賀の知事をはじめ周辺自治体が原発の安全性確保に関与を求めるのは当然だ。

 両府県や大阪府・市が求める期間限定の再稼働についても、西川知事は「スーパーの大売り出しではない」と切って捨て、首相も一顧だにしなかった。

 野田さん、本気で原発を減らす気があるんですか。

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高速会社人事―国交省は理由を示せ

 高速道路4公団の民営化で誕生した6社のうち、5社のトップが代わる。4社は1期2年での交代という異例の人事だ。

 いずれも国が大株主であり、トップの認可権も持つ国土交通省が主導した。

 「会社の自主性を尊重し、むだな道路を造らず借金を返済する」という民営化の理念に沿った交代なのか。国交省は理由をしっかり示すべきだ。

 交代の理由について、東日本高速では役員の数を水ぶくれさせるなど経営の効率化が進んでいないこと、西日本高速では一時体調を崩したことなどが、非公式には指摘されている。

 しかし、羽田国交相は記者会見で「(現在の経営トップは)よくやっていただいたが、1期2年ということで交代する」と語っただけで、一部を除いてくわしい説明を避けた。

 05年の民営化で発足した各社は、会長を民間から、社長は旧建設省や旧公団からという「官民2頭体制」でスタートした。

 政権交代後の10年には、当時の前原国交相の判断でトップを「会長兼社長」に絞り、別の民間人を起用した。天下りを減らし、企業としての経営判断を徹底させるのが狙いだった。

 今回の人事は、東日本、西日本、阪神、本州四国連絡の各高速会社に新たな民間人をあて、首都高速会社では東京都のOBを起用する。2年前の人事では経済同友会の関係者が中心だったのに対し、今回は民営化時と同様に経団連の色が強く、「いずれ官民2頭体制に戻す布石」と見る関係者もいる。

 よもや民営化を後退させることが狙いではあるまい。が、そんな心配をしてしまうのも、道路建設への国交省の前のめり姿勢には目に余るものがあるからだ。今春、新名神高速道路の2区間の凍結解除と全国6路線での4車線化を唐突に打ち出したのは記憶に新しい。

 約50年前に建設された首都高速道路を皮切りに、高速各社は今後、老朽化した道路・施設の更新問題に直面する。

 新たな路線の着工を求める政治からの圧力をはねのけ、より少ない負担で道路を維持する方策を練り、公団時代に抱えた多額の借金も返していくには、自律的な経営が欠かせない。

 経営者に問題があったのなら、2年前の人選について再検証したり、取締役会や監査役などチェック機能を強化したりすることが必要になる。

 各社ごとにどんな事情があったのか。きちんと明らかにすることが、国交省の最低限の責務である。

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