リーグの開幕をいつにするか? これは何も日本だけの問題ではない。ヨーロッパ北部の人たちにとっても切実な問題である。
約1年前、ドイツではブンデスリーガの開幕を「春」にすべきという議論で盛り上がったことがあった。ドイツ代表のレーブ監督が、春開幕を提案したのがきっかけだ。現在、ブンデスリーガは8-5月に開催する、いわゆる秋春制。しかし、レーブは常識を覆して、「2-11月にすべき」と言ったのである。
ドイツにとっても、冬にサッカーをするのは容易なことではない。たとえば、ブンデスリーガの1部と2部のクラブにはピッチ下に暖房を設置することが義務付けられているが、それで芝の状態が良好に保てるとは限らない。若い芽を殺さないように温度を高くし過ぎてもいけなく、管理が難しいのだ。芝の状態が悪ければ、サッカーの質が低下しかねない。
ファンにとっても冬の観戦はつらい。ドイツでは寒さを理由にスタジアムに行かない人が多いと言われ、ほとんどのメディアが「観戦に一番適しているのは夏」と認めている。
アルプスのお膝元、スイスはもっと大変だ。今季スイスの1部リーグでは、すでに雪のため3試合が延期された。ベリンツォーナ対ファドゥーツは2度にわたって延期になり、カップ戦も2試合が開催できず。スイスは芝の暖房が普及していないため、冬にはリスクがつきまとう。
代表の強化においても、春開幕のほうが優れている、とレーブ監督は説明する。
「シーズンで数十試合もした後にW杯に出ても、コンディションが良いわけがない。春開幕であれば、シーズン途中にW杯に出られるので、ベストコンディションで大会に出場できる」
ただし、レーブ監督も「他のリーグが足並みを揃えるなら」という条件付きで、単独でドイツが移行しろと主張しているわけではないが。
ドイツに住む筆者の経験からすると、寒さに耐えられなくなり「試合が早く終わってくれないかな」と思ったことが、恥ずかしながら何度かある。日本においては、多くのスタジアムで屋根がなく、陸上トラックが併設され、観戦快適度が欧州に比べて低い。Jリーグの場合、せめて気温くらいは配慮すべきだと思う。
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