寝取られSS 「人類繁殖法違反」6 (「最狂の寝取られとは?」スレより)
290 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:10 ID:/Moq4F1h
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その日、佐紀は一人で帰路についていた。
授業はうわの空、部活もサボり。
朝の一件で、真っ白に燃え尽きる寸前まで気力を消費していたのだ。
どうしてみんな裸で泳いでいたのだろう。
朝錬以降、日常生活に特別変わったところはなかった。
授業時も、体育の時間も、昼飯時も。
違うのは部活の時だけのようだ。
ちらっとだけ覗いたプールでは、やはりみんな裸で泳いでいた……
それよりも優菜のことが佐紀は気がかりだった。
あの行為の意味は何なのだろう。
まるで、怪我した友達に絆創膏を貼ってやるような、そんな感じのフェラチオ。
それでも、その技巧は凄まじかった。
佐紀が童貞であることを差し引いても、だ。
(まさか、誰かに仕込まれたんじゃ……)
そんな佐紀の鬱な思考を、いつかの優菜の言葉がかき消していく。
『彼氏? そんなの作るヒマあったら練習に使うって』
彼女と色々話をする中で得た情報では、優菜に決まった彼氏はいないはず。
なのに何故……
291 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:12 ID:/Moq4F1h
(2/8)
「佐紀?」
誰かに背後から声をかけられた。
振り向くと、そこには伊集院輝の姿があった。
「部活、さぼったんだね」
「……すんません」
「心配だったんでちょっと君の家まで様子を聞きに行こうかと思っていたんだけど、
道中で会えてよかったよ」
やはり輝は気配りの人だ。
しかし、今の佐紀はその行為に何の感慨も感じなかった。
「今朝、びっくりしたろ」
「え?」
「僕もさ、練習しているうちに自分の姿に気付いて愕然としたんだ」
「……か、会長」
「見渡せばみんな裸でさ。慌てて更衣室に逃げ帰ったよ」
意外な輝の言葉。
佐紀の他に、まともな(?)倫理感のままの人間がいたなんて。
驚いたが、正直佐紀はほっとしていた。
もし、このまま自分だけが羞恥の中で部活をしなければいけないと考えたら……
どうやらそのことだけは回避できそうだった。
292 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:14 ID:/Moq4F1h
(3/8)
「でさ、思い出したんだ。昨日のTVのこと」
「!!」
「出てたよね。宇宙人。信じられないけど」
しかも輝は昨日の会見のことを記憶しているらしい。
あの会見は現実にあったのだ。
宇宙人による人類支配。
動物としての人類。
ソブネリアは人類……
「まさか……」
「おそらくだけど、たぶんそうなんだろう」
「洗脳……?」
うなずく輝。
つまり、日常は宇宙人の手によって改ざんされているということ。
佐紀は愕然とした。
自分と輝以外が、もはや敵の手に落ちている現実に。
「佐紀。これからどうするか考えよう」
「は、はい」
「なんとかできるのは、僕たちだけかも知れないんだから」
(そうは言うけど、どうすればいい?
相手は未知の存在だ。
自分達だけで何ができる?)
それから二人はいろいろ話し合ったが、終ぞ答えは出なかった。
293 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:16 ID:/Moq4F1h
(4/8)
自宅に戻った佐紀は、そのままベッドに倒れこんだ。
のっぴきならない事態が起きている。
そしてそれは、誰にも気付かれないまま進行している。
……佐紀と輝を除いて……
正直、恐ろしかった。
どんどん現実と剥離していく自分に。
いっそのこと、自分も洗脳されれば、楽になれるかもしれない。
輝は何とかしたい様子だったが、佐紀は長いものにまかれたがっていた。
悶々としているうちに、いつしか時間は0時を回っていた。
それでも電気もつけずに、佐紀はのたうちまわる。
月明かりだけが、その様子を照らし出していた。
294 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:18 ID:/Moq4F1h
(5/8)
「…あ?」
何度目の寝返りだろうか。
ふと、佐紀はある異変に気付いた。
部屋の隅。
隅の壁。
タンスに隠れて見えにくいその部分に、薄く光る点があるのだ。
「何だありゃ……」
じっと薄目で見つめる。
じっと。
続けること数十分。
すると、どこからともなく、
『……対ベクター耐性が基準値を大きく上回っている』
『……イ型を注入してみなさい』
『……イ型は効果なし。エ型、オ型も同様の結果』
まるで、頭の中で誰かが話し合いをしているかのような聞こえ方だった。
声の主はどこにいるのか。
目の動きだけで辺りを見回す。
も、何も無し。
となると、考えられるのはあの点だけだ。
295 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:22 ID:/Moq4F1h
(6/8)
ごくっ、と息を呑む。
静かな動きで机の上のコンパスを手に。
こんなものが通用するかどうかは不明だったが、
目ぼしい武器……鋭利なものはそれしか見当たらなかったのだ。
寝相を変えるふりをして、佐紀は狙いを定める。
投げて貫ける自身は佐紀には無かった。
しかし、最小の動きで仕留めないといけない。
やるしかなかった。
「くっ……」
コンパスを持つ手が汗ばむ。
極度の緊張が、佐紀に集中力を乱れさせるような考えをさせる。
(あれを壊せば、洗脳がストップしてしまうんじゃないのか?)
(そうなれば、ますます自分は世間から離れていってしまうんじゃないのか?)
後ろ向きな考えがいけなかった。
寝ているには不自然な動きが出たのかもしれない。
あるいは脳波の乱れでも悟られたのかもしれない。
何せ相手は宇宙人なのだから、何でもありだろう。
点の瞬きが活発になった!
296 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:25 ID:/Moq4F1h
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『……対象がこちらの動きに気付いているかもしれない』
『……一旦帰還しろ』
『……了解』
瞬間、点が中心から円を描くように揺れた。
そのまま、そこを中心に一気に増殖していく金色。
金色の粒子。
「うわっ……!」
一秒もかからずに、それらは一枚の金の板に変わった。
「あ……あ……」
ゆっくりと、板が浮遊を始める。
元あった場所の壁は、同じ大きさんにえぐれていた。
『……記憶の再編集を』
声が聞こえる。
頭の中。
自分に、何かしようとしている。
凄まじい恐怖が佐紀を襲う。
動向が開いた。
と同時に佐紀の目にあるものが飛び込んできた。
297 :23 ◆bxyzd8gFCE :03/10/27 01:27 ID:/Moq4F1h
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金の板の中心に、ひときわ大きく光る、点が。
それはさっき見た板の始まりの位置。
つまりは起点。
(そこだ!)
理屈ではなく直感で、佐紀は動いた。
光る点。
コンパスの短い針、
リーチを稼ぐためにコンパスの脚は180度に開いている、
それをもつ佐紀の腕、
体はねじれ、
足はいまにもつりそうな位伸ばしきった、
そして一足飛びでの動線、
その全てが一本の線で繋がっていた。
日ごろの筋トレは無駄ではなかったらしい。
佐紀の手に想像しなかった柔らかい感触が流れ込んでくる。
『ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!』
大音量の断末魔が佐紀の脳を揺さぶり…板は粉々に砕け散った。
「や、やった……?」
もう声は聞こえなかった。
この先、佐紀が洗脳されることは無くなったのだ。
しかし、この行為が、彼にとって幸せな結果になるのかどうかはわからないのだが。