国有化
ほとんど主要メディアで取り上げられていないが、11日付日経新聞の関連記事で知った。
アルゼンチン、スペイン石油大手傘下YPFを実質国営化へ
これはアルゼンチン政府が、スペイン企業傘下のYPF株を買い取るのではない。どうやら「接収」するようだ。多分「法律でアルゼンチン政府と州のものになりました」と強奪することになるんだろう。なぜこのような事態に至ったのか?
アルゼンチンのフェルナンデス大統領の発表では、国内のエネルギー不足はレプソルが石油・天然ガス増産のための投資を怠り、その為エネルギーを輸入に頼ることとなり、結果多額の貿易赤字を計上するに至った。この悪循環を終わらせるための決定だった、としている。
しかしアルゼンチンのエネルギー不足をもたらした大きな要因には、政府による価格統制がある。当ブログでも触れたことがあるが、アルゼンチンは、2001年に一度デフォルト(国家財政破綻)している。その清算もまだ完全に終わらない状況で、市民は地域通貨から経済再建中。
ここ数年はデフォルトによる通貨安が輸出を伸ばし、経済は立ち直ってきた。小麦・大豆など一次産品の国際商品価格が高騰していたことも追い風になった。一方で通貨安によるインフレ抑制のために、エネルギー資源等に価格統制を加えている。安価なエネルギーは過剰な消費を生むが、採算が合わなければ投資は減るに決まっている。よくよく考えればアルゼンチンの自業自得なのだ。しかしこれまでそのような統制経済でうまく乗り切ってきたのがフェルナンデス大統領で、高支持率を得てきた。その勢いで、かつての宗主国企業に責任を転嫁した上、その資産を強奪ってことか。今回もまた支持率を上げたらしい。
アルゼンチンって何回もデフォルトしているハチャメチャな国家です。でも一応G8の次の、G20に入ってるんです。でもこんなことをやれば、金融経済で締め出し食らうだけでしょ。
で、真似をする国が出てくる始末。
ボリビア:スペイン企業の資産を国有化−アルゼンチンに続く
海外企業資産の国有化って、石油ショックの時にありましたが、今回はあの時とは事情が違うような。
それともこれらの国々は、かつての宗主国スペインが数世紀前大陸の先住民になした行為の仕返しとでも思っているのでしょうか。15世紀中南米に乗り込んだスペイン人は、(疫病持ち込みという要因含めて)結果的に数百万人単位の先住民を死に至らしめた上で、土地を接収した。その過去の虐殺・接収と比べたら、今回の接収は極めて可愛いのだが。
果たして今回の接収を、スペイン人はどう思っているのだろうか?ギリシャ・フランス選挙の結果、自国債券も下落して、経済情勢はますます厳しい。スペインの失業率は20%超、特に若者の失業率は50%近い。こういう状況で、特に戦争も起こらず、昨日までの金融と経済の秩序が平和な状況で続くと考える方が、ノーテンキではなかろうか。「キチガイの戯言」からランクアップして、「世界経済に対する極めて悲観的な見通し」ってことにするかな。
なんか、
注目すべきポイントあったらまた逐一お願いします。
結局全てが本来空ってところから言えば、どんなもの作っても壊れますので。遅いか早いかだけの違いで。
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