神戸大は8日、大学院医学研究科の研究室で実施したインフルエンザウイルスの遺伝子組み換え実験について、法的に必要な文部科学相への届け出をしていなかったと発表した。ウイルスの外部への拡散などはないという。文科省は同日、同大を厳重注意した。
問題となったのは、季節性のH1N1型インフルエンザウイルスについて、感染の仕組みを調べる実験。2009年4〜8月、医学研究科准教授の指導で大学院生が組み換えウイルスの作成や培養をした際、文科相に届け出ていなかった。昨年12月、電子メールで学内関係者に告発があり、同大が調査。准教授は届け出の必要性を認識していたが、実験の進行状況を細かく把握できていなかったという。
調査過程で、准教授が08年と09年にインドネシアからインフルエンザウイルスの遺伝子などを持ち出す際、同国で法的手続きをしていなかったことも分かり、同国政府に謝罪文を送った。
医学研究科では08年、同様に文科相への無届けの遺伝子組み換え実験や、組み換えた大腸菌などの違法な廃棄が発覚。問題が繰り返され、武田廣副学長は「非常に残念で、大きな反省点」と謝罪した。今後、学内委員会による定期調査などの対策を進める。
(岩崎昂志)
(2012/06/08 21:32)
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