不正受給3
増加する一途の生活保護において、支出の大半を占める医療費。Dさんのケースは、膨れあがる医療費負担の一側面を表していた。近隣とトラブルを起こして退去しては、救急車で担ぎ込まれて入院して生活保護。新たに住居を借りるには、20万程度の初期費用がかかる。救急搬送や入院費だって馬鹿にならない。それを3回やってきた。
これは不正受給に限りなく近い。限りなく黒に近い灰色。なぜ完全な黒と言えないかと言えば、本人が「痛い、苦しい」と言えば、反証困難。前回述べた通り、なりたくてなった病気。それでも現実に多少なりとも症状が出ている以上、誰がどう断罪できようか?(同情の余地あり、ではなく、証拠不十分という意味)
しかし私的には完璧な黒。少なくとも私の所にいる限りは、その性根は多少なりとも修正を加えてもらわねばならない。
「あのね、Dさん、本当に体が悪いんだったらしょうがないけど、そういうズルをやるのは良くないよ。そういう人ばっかりだったら、世の中成立しないでしょ?」
「はあ」
「生活保護もらえて新しい住居借りれるのも当たり前みたいに思ったらダメだよ。みんなの税金で成り立ってるわけだし、お医者さんだけじゃなくて人の為に働いてくれる人がいるから成り立ってるんだからね。」
「……」
「ちなみにキセルするとか言ってたけど、どうやってするの?」
「ドアしまってピンポンピンポン鳴っても、そのまま強引に通り抜ける」
「駅員は何も言わないの?」
「駅員が見てない時を見計らって、走り抜ける。」
「あと窃盗2犯って何やったの?」
「700万盗んだ。」
「で、そのお金どうしたの?」
「パチンコとかバクチで使った。」
「……」
「人生何かでかいことやってみたいなと思って。」
「でも700万盗んで、パチンコやってそれで使ったら終わりでしょ?」
「でもチマチマ働いて5万とか稼いでもしょうがないなと思って」
「まともに生きたいなら、それなりに信頼できる関係作ってやるしかないと思うけど。でなければ、今みたいな行き当たりばったりの生き方しかできないよ。」
「そうでっか。」
「俺も人に偉そうなこといえる人生送ってきてないけどね。俺オウムの幹部だったの。」
「あ、麻原さんですか、尊敬してます。」
おまえ〜、お世辞もええ加減にせえよ。。。。現役信者以外で麻原尊敬するヤツがどこにおるねん。
「あなたが生活保護を取って欲しいなら、私は何とかしますけど、今月中は取れないからそれは認識しておいてね。来月になったら取れるから。」
「はい、分かりました。」
彼は私に気を遣って、コーヒーを買ってきてくれた上で、お風呂まで沸かしてくれた、頼んでもいないのに。文章に書いてみるとそっけない人物に見えてしまうが、Dさんはそれなりに気を回す人物だった。とはいえ、これらは彼の金ではなく、私が出したお金と、同室の2人が負担しているガス代・水道代によるものに過ぎないのだが。
2日後に迫った翌月すぐに役所に申請に行く約束をして、その日は別れた。
(つづく)
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