不正受給2
電車の音でノイローゼになると訴えるDさん。仕方なく新しい場所に移ってもらうことにした。私の物件は、大体駅から遠い。駅まで歩いて電車に乗っても、更にまた駅から歩かねばならない。電車賃をかけるのも何だし、二人で自転車2台に荷物を積んで移動することにした。
移転先の物件までは、距離にして8km位、時間にして40分前後の行程。その道中、彼は特に私から遅れることもなく、自転車でついてきた。それなりに元気そうである。入院が必要な体じゃないね。
新しい場所に案内した。前の電車がうるさいところとは違い、比較的新しい静かなマンション。とは言っても3人のルームシェアだが。
「体の方、大丈夫そうですね、入院しなくても。」
「いや入院したら、そこの医者が生活保護の面倒な手続きを全部やってくれるんです。」
比較的マシな新居で安心したのか、彼は本音を語り出した。要するに生活保護を取らんが為の入院である。
「今までその手口で生活保護取ってもらって来たの?何回それやりました?」
「3回、前のS区の病院の○○先生にはお世話になった。」
Dさんは生活保護のこの裏技を良く知っていた。神経科2で触れた保護対象者、ケースワーカー、医者の生活保護トライアングル。最初の生活保護申請においても、医師の持つ力は絶大。役所は保護対象者を水際作戦で追い返すことが出来ても、医者もしくは病院のケースワーカーから働きかけがあった場合には逆らえない。保護対象者は労することなく容易に生活保護が取得できてしまう。
もしあなたが、生活保護を取ろうにも役所で断られたとする。それでお金も食べるものも何もなくなったら、家の中で餓死するのを待つのではなく、人目に付く路上でぶっ倒れればよい。間違いなく誰かが救急車を呼んでくれよう。救急車で病院に運ばれたら、それまでの経緯を話せばよい。病院側が生活保護を通してくれよう。
しかしこんなやり方は、ホントにホントにホントにホントにどおおおおぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜しようもなくなった最後の最後の最期にだけ使うべきだ。むやみにこんな手を使えば、バチが当たる。バチが当たる前に人間そのものが腐る。更に言えば、本人が病気で入院したいがために、本当にその心の働きによって病気になってしまう。病気になる必要性が、現実に病気を生じさせる。
話は逸れるが、以前私がオウム真理教名古屋支部にいた時の話(ブログのどこかで既出かもしれないがご容赦下さい)。小便の垂れ流しで困っているという人が相談に来た。その人の話はこうだ。
働くのが嫌だった
垂れ流しのフリをすれば、まわりが面倒を見てくれるだろうと思った
それで小便垂れ流しのフリを始めた。すると予想通りまわりが心配してくれて、面倒を見てくれることになった。
しかしその内、本当に小便のコントロールができなくなり、本当に垂れ流しになった。
その人はかなり肥満で小便臭かったのを覚えている。
垂れ流しのフリが本当に垂れ流しになったという例。これは表層での思惑が、無意識に押し込められてしまうということである。
分かりやすい例で行くと、体育の時間が近づくとお腹が痛くなるというヤツ。多分皆さんも小学校の知り合いなどに一人や二人居たのでは無かろうか?これは体育の授業に出たくないから、どっか体調が悪いことにしてズル休みしたい。そういう表層の思いが、本当にお腹を痛くさせてしまうのだ。
私も昔、柔道の部活が嫌だった。ある時、ちょっとお腹が痛いような気になったので、「お腹が痛いと言うことにして休もうかな」と考えた。その時「痛い」と思えば痛みが増したが、「痛くない」と思えば痛みが遠のいた。何か変だな、と思ってその時は休まなかったが。しかしこのようなズル休みする為に痛みのコントロールを、無意識的にできてしまう人間がいる。嫌なことが重なると頭が痛くなる、とか。
これは「ズル休みできてラッキー」という話では無い。無意識的に病気になることによって、本当に病気になってしまうのだ。Dさんは水がたまるとか肝臓が悪いということだったが、多分「生活保護受給の為」に体が悪くなっているところがあろう。
以前ある人に気功を習っていたことがあったが、その人によれば、「病気になる人は全てなりたいからなっている」とのこと。私はその説を100%支持するわけではない。しかし「なりたくて病気になっている」人が存在することは間違いなかろう。垂れ流しの名古屋人同様、Dさんもその一人だったろう。
(つづく)
健康なのに病気のフリをすると自分に返ってくるって事ですね。
意志が強い云々の問題じゃないんですね
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