「妊娠した女性は、育児休業を取らずに退職して欲しい」と考えている企業が25%にのぼるとした調査結果に、波紋が広がっている。求人広告のアイデムが、正社員が6人以上いる1439社からインターネットを通じて回答を得たものだ。
男性正社員の育休取得を「容認できない」とした企業も16%あった。急速に進む高齢化が社会不安を高めている中で、働きながら出産や子育てを行う女性や、それを支えようとする夫を疎んじる会社があるのが実態のようだ。
ネットにはこの結果に対し、実際にはもっと多くの企業が育休取得を快く思っていないはずだ、という書き込みが見られる。
「『本音』を言ったのが25%のみ、という調査結果」
「むしろ正直な企業が25%しかないってことだろう」
育休取得を冷ややかに見ているのは、人の穴埋めに苦心する経営者や管理職だけではない。交代要員が配置されない場合、職場では仕事量が増えてフラストレーションが高まる。連続して子どもを産むと、産休、育休で何年も姿を見ないこともある。
ネットメディア「ガウ!マガジン」は、「『育児休暇を取らないで』が25%!子持ち同僚にムカつく事4選」という記事を掲載し、職場に残る独身OLの苛立ちを紹介している。
まっさきにあがっているのは、「婚期が遅れるのも“育児休暇”のせい」という声だ。同僚が自分より先に結婚・出産したために仕事が激増し、出会いが遠のいて婚期が遅れてしまったと嘆く31歳女性(保険会社勤務)の声を紹介している。
「のんきに子どもの写メールを送ってくるA子に腹が立ってしかたありません。復職後、仲良くやっていけるか心配です」
こういう人に限って、自分が出産するときには「目いっぱい休まなければ損」とばかり、育休を最大限に活用する気がするのだが…。
このほかにも独身OLは、育休中に海外旅行に行く同僚や、「子どもの病気」を理由に休む同僚にモヤモヤしたりムカついたりしていると、記事は紹介している。
働く女性からすると、自分が妊娠してから「会社の正体」が初めて分かるというのは、相当なリスクになる。ある女性は、
「そんな企業こそ名前を晒して、会社四季報に糞企業一覧として載せておけばいいのに」
と憤る。知らずに入社して、後で追い出されるのではたまらない。
そもそも国が育休取得に伴う負担を企業だけに押しつけるから、こういう調査結果になると指摘する人もいる。
「そりゃ会社側としては(短期的な)経済合理性で語るでしょ。国がサポートしなきゃ少子化は防げない」
労働者からの育児休業の申し出があった場合、「事業主は拒むことができない」のは逆効果という声もある。義務づけをやめれば、福利厚生の欄に「育児休業あり」と記す会社は、優秀な女性人材を獲得できるかもしれない。
「育休取得は歓迎できない」という意識を批判して変えさせようとするよりも、社員に取得させることが会社にとって利益になるか、ほとんど負担にならないように社会全体で支えることが必要だろう。
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