国会事故調:「全員撤退は官邸の誤解」 東電側の証言なし
毎日新聞 2012年06月08日 21時11分(最終更新 06月08日 23時45分)
現行法では情報提供者はインサイダーに問われない。このため、監視委は情報を漏えいした企業について「公募増資の主幹事証券会社」と説明するにとどめてきた。しかし、監視委が8日公表したインサイダー事件の舞台になった東電の公募増資の主幹事証券は野村証券1社だけ。自社の関与について明確なコメントを避け続けてきた野村も、認めざるを得ない事態に追い込まれた。
東電の増資を巡るインサイダー取引では、野村証券の男性営業社員は日本に拠点を置くコンサルティング会社を通じ、公募増資情報を漏えい。このコンサル会社と契約を結ぶ米金融機関が増資の公表前に株を空売りし、利益を得る見返りに、その後の株式売買を野村証券を通じて行ってもらう狙いがあったとみられる。
監視委によると、3件のインサイダーで情報漏えいに関与した野村証券の営業員は計4人。個人の資質の問題を超え、営業活動の一環として組織的に情報を漏えいしていた疑いが強まっている。
監視委は、既に野村証券への行政処分を勧告する方針を固めている。野村が公表する調査報告を踏まえ、6月中にも勧告に踏み切る可能性がある。【大久保渉、浜中慎哉】