「(ユーロ離脱の是非を問う)国民投票をしたらどうか」。5月18日、独首相、アンゲラ・メルケル(57)は、独語が堪能なギリシャ大統領のカロロス・パプリアス(83)に自ら電話した。ユーロ残留を望む有権者の意志を示せば、市場の不安が和らぐ――。そんな計算が働く。
その3日前の夕刻、ベルリンの首相府。就任直後に駆けつけた仏大統領、フランソワ・オランド(57)にメルケルはこう切り出した。「ギリシャはユーロ圏に残ってもらわないと」
ギリシャの再選挙は数時間前に明らかになったばかり。市場の混乱回避へ、まずオランドの意思を確認する必要があった。
いきなり重たい話題を振られたオランドは緊張した面持ちだったが、答えは明快だった。「そう思う。ギリシャが(財政再建などの)公約を守れば支援する」。市場が揺らぐことはフランスも望んでいなかった。
だが南欧には緊縮策を続けさせ、ドイツなど周辺国が支援を続けるというメルケルの方針はイタリア首相のマリオ・モンティ(69)にとって絵に描いた餅に映る。南欧諸国の多くは2013年もマイナス成長が続き、ドイツが主張する緊縮路線に有権者が耐えられるわけがない。
「この先数週間は欧州にとって試練となる」。5月中旬、欧州主要国の首脳が参加したビデオ協議でモンティはこう予言した。案の定、事態は改善するどころか一段と深刻化した。
ギリシャのユーロ離脱が欧州にどんな影響を与えるのか。5月23日、非ユーロ圏のポーランド首相、ドナルド・トゥスク(55)は国会の廊下で待ち構えた記者団の問いに歩みを止め、振り返った。「よく考えて対策を準備しなければならないな」
欧州連合内部でもギリシャがユーロから離脱した場合の緊急対応策である「プランB」が半ば公然と議論され始めた。
米国や日本ではドイツなどは支援不足との批判が根強いが、国内では「支払い王」と自嘲する空気がまん延し、支援疲れが色濃い。メルケルは6月4日、首相官邸に財務相のウォルフガング・ショイブレ(69)ら与党幹部3人を呼んだ。債務危機のなかでの経済・財政政策を再確認するのに3時間を費やした。
欧州が結束して支援を続ける「プランA」堅持か、「プランB」発動か。ギリシャ再選挙は17日に迫る。(敬称略)
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