野田佳彦首相が関西電力大飯原子力発電所3、4号機を再稼働する方針を表明した。首相は停止中のほかの原発も順次、再稼働させる意向も示した。年内は伊方(愛媛県)、泊(北海道)の2原発の再稼働が焦点となる。ただ、首相は中長期では「原発依存度を減らす」との方針は譲らず、立地自治体が反発する可能性は残っている。
「大飯以外の再稼働も丁寧に個別に判断していく」。首相は8日の記者会見で、大飯以外の原発も再稼働をめざす方針に言及した。電力需給の問題というだけでなく、原発が止まったままでは燃料費が膨らみ、いずれ電気料金が大幅に上がってしまうからだ。首相は「計画停電や電気料金の高騰という日常生活への悪影響をできるだけ避ける」と語った。
政府が「大飯後」にまず再稼働をめざすのは四国電力の伊方原発3号機だ。これまで大きなトラブルが少なく、地元愛媛県の中村時広知事も再稼働に比較的柔軟とされる。四国電力は原発依存度が約4割と高い。今夏の電力需給はぎりぎりで、原発なしではいずれ値上げを避けられない。国の新たな原子力規制組織の発足後、今秋以降の再稼働をめざす。
その次の再稼働候補にあがるのは北海道電力の泊原発1、2号機。北海道は冬に電力需要がピークを迎えるため、政府は厳冬期を迎える前の再稼働を描く。地震の影響が小さいとされる九州電力の川内原発も候補だ。
大飯、伊方、泊、川内とも「加圧水型」という原子炉で、事故を起こした東京電力福島第1原発と違うタイプ。東日本大震災の余震の恐れが小さい西日本の原発が多い。
ただ、すんなりとはいきそうもない。首相は会見で「政権として中長期の方針として原発依存度を可能な限り減らす」と表明。菅直人前首相が打ち出した「脱原発依存」の基本路線を大きくは変えない姿勢も示した。
短期的には原発を動かすが、中長期では脱原発という政府の方針は立地自治体からは「二枚舌」とも受け取られかねない。国が長期的にも原発の活用を続ける方針でなければ、原発を軸にしてきた町づくりも揺らぎかねないからだ。
早ければ今夏にも発足する新たな原子力規制組織も火種になる。首相と経済産業相ら3閣僚の会合で原発の再稼働を判断する現在の枠組みは、新組織の発足後に全面的に見直される。原発の安全性は経産省原子力安全・保安院ではなく新組織が判断することになる。与野党協議を経て、新組織は政府からの独立性が高い「3条委員会」になりそうで、政府の再稼働の意向が働きにくくなる可能性もある。「新組織で新しい安全基準ができるまで国は再稼働に動けない」との見方もある。
野田佳彦、関西電力、中村時広、福島第1原発、北海道、四国電力、東京電力、原発、菅直人、北海道電力、九州電力
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