【7月12日告示・県知事選】
「脱原発」の飯田氏が出馬検討
来週にも表明か?
山本、高邑氏と三つどもえの可能性浮上
【写真説明】左から山本氏、高邑氏、飯田氏
7月12日告示の県知事選は二井知事の今期での引退表明を受けて、早くから自民、公明両党が推薦を決めている山本繁太郎氏(63)=柳井市=に加え、4日に民主党の高邑勉衆院議員(38)=防府市=が名乗りをあげてにわかに動きが活発化してきたが、周南市中須出身で脱原発を掲げる環境学者、飯田哲也さん(53)=横浜市=が出馬を検討していることがわかった。状況次第で共産党は独自候補を擁立しない可能性もあり、告示まで1カ月に迫った知事選は一気に混とんとしてきた。(山上達也)
中須出身、事業仕分け人や大阪市顧問
飯田さんは徳山高、京都大学工学部原子核工学科卒、同大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。神戸製鋼に入社し、電力中央研究所出向を経て東京大学大学院先端科学技術センター博士課程を満期退学。退職してスウェーデンに留学。ルンド大学で環境エネルギーシステム研究所客員研究員を務めた。原発や化石燃料より持続可能な自然エネルギーをと訴え続けて2000年(H12)にNPO法人環境エネルギー政策研究所を設立して所長に就任した。
政府の審議会などの委員も歴任し、鳩山内閣時には行政刷新会議事業の仕分け人。東日本大震災後は原発と自然エネルギー政策の研究者として注目され、内閣官房原子力事故再発防止顧問会議委員や今年1月には橋下徹大阪市長に招かれて同市の特別顧問、2月から大阪府特別顧問を兼務している。
「維新の会」前面なら共産党は独自候補
飯田さんに出馬を要請しているのは県内外で反原発運動に取り組む複数の人たちなど。今週末には秋葉忠利前広島市長らと県内で支援者と協議すると見られ、支援体制の話がまとまれば来週中にも出馬表明する可能性がある。
飯田氏が出馬した場合、注目されるのは共産党などで構成する市民団体、みんなの県政をつくる会(福江俊喜代表)の対応。同会が候補擁立の姿勢を見せつつ候補者名の発表を遅らせていたのは同会が飯田氏と共闘できるかを見極めようとしていたためと見られるが、飯田氏が橋下氏率いる大阪維新の会を前面に出せば飯田氏を推せず、独自候補を擁立することになりそう。
民主は飯田氏に好意的?自民は戦略再考へ
飯田氏を支持する動きは民主党県連内にも見られる。高邑議員の出馬表明では厳しい国会運営のさ中であることや、党本部や県連(加藤寿彦代表)に何の相談もなく出馬の記者会見をしたことで党本部に処分を求める声もあがっており、高邑氏と党支持者の間の温度差は大きい。ある役員は「第3の候補(飯田氏)が現れれば、県連が心情的な支援に回る可能性がある」と明かした。
下松市の平岡秀夫衆院議員の後援会関係者は「平岡氏と衆院選で2度も対決した山本氏は推す気になれない。高邑氏と山本氏の1対1なら高邑と(投票用紙)に書くし、飯田氏を加えた3人なら飯田氏に入れたい」と話している。
一方、山本氏の陣営では知事選用の後援会リーフレットに後援会入会申込書をつけていないなど細やかな戦略をとっていないことから「判断が甘かったのではないか」と再考を求める声が出ている。1日に周南市内で開かれた自民党徳山、熊毛、鹿野各支部の選対会議で徳山支部長の藤井律子県議は「後援会リーフレットは配るが入会勧誘活動はしない。皆さんの組織にお願いして選挙戦を進めたい」と理解を求めた。
