大飯原発再稼働問題で、うんざりさせられたのは地元関西の首長たちの迷走です。

　当初、強く反対していた橋下徹・大阪市長は５月末になって突然、事実上の容認に転じました。電力会社を悪者にしてエエカッコした揚げ句、頑張ったけれども押し切られたと格好をとりつくろおうとしているのが見え見え。「正直、負けたといえば負けた」などの発言には本当に腹が立つ。政策判断は勝った負けたじゃないでしょう。電力問題を人気取りの手段としか考えていない。

　松井一郎・大阪府知事だって、広域連合の合意後も「容認も理解もしていない」などと「賛成した」という批判から逃げるためのあいまいな発言に終始した。「環境知事」を売りにする嘉田由紀子・滋賀県知事は、水質保全問題などで発揮したようなリーダーシップを示せなかった。

　実は２年前に妻が転倒事故で頸椎（けいつい）を損傷し、兵庫県の自宅で今も２４時間介護です。電動ベッドを動かせなくなったら寝返りも食事もできないし、冷暖房がなければすぐに体調を崩してしまう。正直、今の我が家には原発よりも停電が怖いのです。電力の安定供給が確保できるまでの暫定的な再稼働、そして原発の段階的廃止というのは、やむを得ない着地点ではないかと思っています。