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空の月は赤い。「ええ、夜やったあ。昔に戻ったみたいで」とりん。
主夫(洗い物)する万作。「おれ、そろそろ夜行の時間。」と拓也。
「話、まだ終わってないんじゃないかあ?灘へきた訳みな?」
(←また、拓也の心見抜いてる万作)
「俺が灘来たんは…」
「聞いた。なんか厳しいこと言ったんだってえ…、泉に。今の露誉は飲む人を裏切っとう。怒ってたぞ、あいつ」「ほんま?」「あ、相当きている。深くじわーっと。いくら連休だからって、有名な蔵の杜氏が実家のお酒に文句つくためだけに仕込み休めるわけがない。泊まってけよ、今晩。自分のうちじゃないか?あいつもいろいろ、曲がり角でね、会社のこと、そよぎのこと…」
「恩田さんがついとうやないか?」(寂しげに)「恩田さんかあ?懐かしいなあ…
自信ないんだ、そよぎに言われた。父さんは母さんがいいっていうことは何でも
いいのねって。なんかぐさっとね」「今の仕事がいやなん?」「そうゆうこともわからなくなってんだ…。(あーー切ない。ここずっと、万作さんは悩んでたのね)本当はこういう時こそ、彼女のこと、支えてあげなきゃいけないのに…。頼むよ、彼女のこと。そろそろ、外のものかたづけなきゃ」「恩田さん、姉貴と一緒になったこと後悔しとう?」
「君が弟になってよかったよ」(この日常的な「よかったよ」の言葉、すごくずしりときました)
外に出てため息つく万作。下を向いてうつむいていると、拓実がやってきた
「どうした、こんな時間に?」と万作。「おやじはいます?」「ああ」「昼間ちょっ
とへんなこと言っちゃって…」(しばらく会ってなかった人に会うってどんな気持ちかなあ)
「ちょっと出ようか?なんか知らないけど、謝るなら明日にすれば…(後ろにそよぎ現れる)どうせ、今夜ここに泊まってもらうから…。」「一度乗ってみたかったんだよな、その後ろ(バイクのこと)」そよぎが出てきて、バイクの後ろへ。
「今夜、おじいちゃんのところへ泊まる」二人は行ってしまう。
拓也に自分の今の思いを素直に打ち明ける万作さん、「頼むよ、彼女のこと」…これ
に込められた万作さんの気持ちを思いやると、義弟をいかに可愛がっているか、また、
万作さんのどうしようもないやりきれない思いが感じられる一言です。心を開いてい
なければ、素直に「自信ないんだ」なんて言えないし、ましてや拓也の泉に対する気
持ちを知っている万作さんが、そういった言葉を言うっていうことが、余計に、視聴
者を泣かせますね。
(泉と拓也)
「約束やって、そう言うてたね。私にしんどいことあったら、必ず戻るって。それで戻って来たって…。あんたがなんで灘へ戻ってきたんか、それが何で今なんか、分かった。ほんまにしんどいは、あんたのほうや」「姉貴、ここへ戻ったら、あかんかな。榊の蔵に、露誉つくりに…。」(外では万作が片づけをしている)
「榊をこえる、自分だけの極上の一滴作って、運命に勝って見せるって。それだけ考えて酒造りしてきた。親父とは別の歩き方で。そやけど、その親父の年を越えるようになってしまって、考えてなかった。造っても造ってっても、もう越える酒はない。姉貴のそば、戻ったらあかんかあな。ここで、ここの蔵で露誉に…二人ならきっといける…。その言葉、もういっぺん聞きたくてここに戻ってきた」
「あかん、一人で渡らなあかん橋もある。あんたは、そうゆうて出てったんやで
(本心をいわない泉)」
泉、仏前から、ギターの弦を取り出す。東大の入試が中止になった日、信太郎が神戸で拓也の誕生日に渡すつもりで買った弦である。泉は「渡った橋は戻ったらあかん。その先がどんなに狭かっても、暗かっても一人で行くしかない」と言う。
弦を見ながら「 おかしなもんやねえ。強く弾きようたら、ちぎれてしまう。近寄った
らゆるむ…そやけど、ずっと離さんと程良く張ったらきれいな音を出す。」(笑)
「今度もし、もし姉貴と俺が生まれかわるとしたら、それでも兄弟がええな」
うん、とうなずく泉。
(1月17日深夜、外)
拓也「風が泣いとう」茂吉「また吹きます。命を育てる北風です」蔵のなかへ入る拓也。
杜氏の歌が聞こえてくる拓也。夜が老けていく。それぞれが違う場所にいる。
酒蔵の雫が印象的。
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