積雪地帯にあるチームの経済的負担をどう解決するか?
そのうえ、日本には酷暑もあれば厳冬もある。小倉氏は冬開催だった南アフリカW杯で起こった問題点に注目している。
「(比較的温暖だった)ダーバンやケープタウンではお客さんが十分に入っていた。ところが、寒い北のほうになるとお客が入らない。寒いから(集客率が)だめだというFIFAの結論になった。これは我々のシーズン制とつながる問題だと考えている」
積雪地帯にあるクラブには、イングランドのスタジアムのようなヒーティングシステムなど寒冷対策の設備がない。芝、スタジアム、練習施設にかかる財源を、協会やJリーグがどれだけバックアップできるのかという問題も出てくる。たとえばBIGの売り上げが好調なtotoの収益金を充てるなど、思い切った具体案が出てこなければ、積雪地帯にあるクラブが秋春制の移行に首を縦に振ることはあり得ない。
海外で日本サッカーが戦う姿こそ、秋春制の原動力。
筆者の考えを言わせてもらえば、以前は、ファンや積雪地帯にあるクラブの意向を考えて、秋春制移行に反対の姿勢を取ってきた。しかし、南アフリカW杯でベスト16に躍進したことが、日本のサッカー熱やJリーグの盛り上がりにもつながっており、日本代表の強化はファンのためにもなることをあらためて痛感させられた。今回の岡田ジャパンが結果を残せたのも、本大会前にイングランドやコートジボワールなど一線級の相手と戦えたからである。AFCの日程が春秋制になっているためにAFC加盟国全体で変わっていく必要はあるものの、FIFAのスケジュールに合わせることで強い相手と戦える機会が増えるのは間違いない。
長い目で見れば、代表強化の観点に立つなら条件付きで秋春制の移行はやむを得ない、と今では考えるようになった。
条件というのは寒冷地帯にあるクラブの設備投資やファン対策を含めた諸問題がクリアされなければならないということ。代表ばかりに目を向けて、基盤となるJリーグがぐらついてしまってはまったくもって意味がないからだ。そして韓国や中国のリーグなどアジア諸国にも呼びかけて歩調を合わせることも重要だ。その点でもAFC理事を務める小倉氏がトップに立ったことを、プラスに捉えていきたい。
具体的な5カ年計画などの「小倉プラン」に期待。
小倉氏はJリーグを大事にしつつ、代表強化に努める覚悟を示す。
「私は、アフリカみたいに、ヨーロッパにいる選手で代表チームができて、その国のリーグの選手がいないということはしたくない。常にJリーグが(代表への)供給の源泉になればいいと思っています」
新会長が“漸進的移行”に全力で取り組むなら、5カ年計画でも10カ年計画でも具体的な「小倉プラン」を立てて、反対の意を表明しているJリーグの大東和美チェアマンたちに理解を求めるような動きがあってもいい。
今月14日に72歳の誕生日を迎える小倉氏の任期は1期2年限り。小倉新会長はこの2年で秋春制移行の道筋を見いだすことができるだろうか――。
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