秋春制論議を犬飼氏のように感情的にしない小倉氏。
この秋春制移行の議論は犬飼氏が交代したから終わり、ではないのだ。
外から眺めると犬飼体制での議論は、いささか感情的な対立に思えなくもなかった。Jリーグの立ち上げの際など、実務で力を発揮してきた小倉氏は調整力に長けている。むしろ今こそ議論を深めて秋春制移行への真の結論を、出すべきではないだろうか。
小倉氏の言うように欧州中心で世界のサッカーが動いている以上、日程面や欧州のクラブがからむ移籍の面でヨーロッパのシーズンと合わせるメリットは大きい。日程で言えば、FIFAのスケジュールに合わせることで親善試合のマッチメークを含めて日本代表の強化策も立てやすくなる。移籍の面では、欧州市場の影響をJリーグはもろに受けており、シーズン中盤にクラブの主力選手が抜けてしまっているのが現状だ。
今夏も長友佑都や川島永嗣、内田篤人らが欧州に渡った。最近は欧州のシーズン開幕に合わせて6月を契約期限に設定する選手も増えている。こういった流れが加速していけば、リーグ終盤に向けた盛り上がりにも影響を及ぼしてくるとも考えられる。
酷暑のスタジアムではベストな試合は観られない!!
加えて異常気象によるこの国内の酷暑だ。W杯が終了してリーグは再開したものの、選手たちのパフォーマンスは上がっていない。「この環境で90分間、サッカーをやるのは体力的に厳しい」と選手たちの切実な声も聞く。犬飼氏もNumber725号誌上にて、この点を強く問題視していた。
「いいサッカーをしていこうという前提で7月、8月にお金をとれるようなサッカーをしているかといえば、酷いんですよ。これだけ湿度が高くて温暖化によって気温が上昇しているなかで選手はたまらない。現状では暑いなかで肉体を酷使した選手が、本来ならシーズンオフの期間に世界を相手に戦うのが今の日本の宿命なんです」
しかし、現状では移行にデメリットが大きいのもまた事実である。鹿島アントラーズの名物社長の一人だった牛島洋氏(2006年に退任)はかつて、こう言っていたものだ。
「一番大事なのはファンの皆さんがどう考えるか。夏休みになると子供たちがいっぱいスタジアムに来てくれてサッカーを楽しんでくれる。じゃあその楽しみを奪っていいものか」
W杯効果もあるだろうが、今夏のJリーグには各地で多くのファンが駆けつけている。夏休みならではのイベントを各クラブで企画するなど、夏休みはクラブにとっても書き入れ時だ。ファン目線に立つと「夏は外せない」との意見は多い。
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