<2006年11月=東スポ携帯サイトより>
私は昔の映画やテレビ番組中に登場する、往時の風景と、その場所の現在とを比較する作業が大好きだ。いわゆる「定点観測」というやつだ。
そんな「昔の東京ウォッチング」に最適なのが、現在もCS放送等で放送中の「特別機動捜査隊」(昭和36~昭和52年=NET系)だ。
何しろ番組冒頭から「連絡を受けた立石班は、ただちに東京都~区○○の現場(「げんば」ではなく「げんじょう」と読む)に急行した」などとナレーションが入り、そのロケ現場も大抵、そのまんまなので「昔の東京ウオッチャー」にとっては、非常に親切でありがたい番組なのだ。
全801話、16年も続いた長寿番組のため俳優陣も時代によって異なるが、初期は立石班の立石主任(波島進=前職は七色仮面こと名探偵・蘭光太郎)。藤島班の藤島主任(中山昭二=のちのウルトラ警備隊隊長)らを中心に話は動く。
昔の大人は、実にキチンと帽子を被っているのが特徴。スーツの着こなし、口調、タバコを吸う仕草ひとつとっても、とてもオトナだ。立石主任はピンチになると七色仮面に変身、藤島主任はウルトラホーク1号で出動!なんて妄想を抱いてしまう私は、37歳にしてまだまだコドモだ…。
昭和30年代後半の東京は、終戦から十数年が過ぎたとはいっても、やはり現在の視点で見ると、あまりの違いに驚きの連続だ。第1話「最後の犯人を追え」のラストシーン近くでは、明治通りを原宿方面から渋谷にかけてカーチェイス。現在の東映プラザ前の車線真ん中に車を止め、犯人を追う。交通量の多さからして、こんなロケは今では許可が降りないだろう。
渋谷は地下鉄銀座線の高架、文化会館などで、すぐに場所が特定しやすい。渋谷駅東口の停車場(今はバス乗り場)に向かう都電が宮益坂を下りてくるシーンなども確認できる。代々木体育館や渋谷公会堂(現・サントリーCCレモンホール)など東京五輪(昭和39年)用の施設は当然、まだ存在しない。別の回では建築途中の代々木第一体育館の工事現場(世界建築史上でも貴重な骨組み姿が見られる)で犯人を逮捕するシーンもあった。
製作は東映(練馬区大泉)のため、いきおい西武線沿線の撮影が多い気もするが、第118話「ながれ」(昭和39年放映)で特捜隊は、まだ「東京郊外」そのものといった風情の二子玉川に遠征。ここでは、まだ現在のように多摩川に鉄道専用橋(昭和41年に完成)が存在しないため、二子橋に敷かれた
単線併用軌道を、自動車に混じって、いかにも申し訳なさそうにコトコトと走行する東急田園都市線(まだ3両編成だ…)の姿が確認できる。上流には新二子橋も東名高速もなく、すぐ下流にある田園都市線の鉄道橋や第三京浜も完成前、付近に高い建築物も存在しないので現在と比べて河川敷全体が物
凄くだだっ広く、空も高く感じられる。
失われた風景を画面の中に探すというのも、昔のテレビドラマの楽しみ方の一つである。ぜひお試しあれ。
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