<2012年3月=東スポ携帯サイトより>
今も昔もビールの広告やCMに登場するというのは大物タレントの証だ。芸能ニュースなどでも、よく「○○が△△ビールのCMに出演!」なんてニュースを目にする。
今から47年前(昭和40年)の1月、当時の本紙にて日本プロレスの四人衆(豊登、ジャイアント馬場、芳の里、吉村道明)がギネスビールの広告に登場していたのをご存知だろうか?
黒ビールの代表的存在であるギネスは1759年、英国はダブリンにて誕生。日本では2009年までサッポロビールから発売されていたが、現在はキリンビールから発売されている。
三船敏郎出演の「男は黙ってサッポロビール!」のテレビCMを例に出すまでもなく、その昔、ビールは「男の飲み物」だった。従ってCMや広告出演者も圧倒的に男性タレントが多かった。当時、「強い男」の象徴であったプロレスラーを広告キャラに採用するのも当然の流れだろう。
力道山の死去から、まだ1年。豊登をエースに、若きホープの馬場が台頭。芳の里、吉村といったベテランが脇を支えた短い時代のもの。大木金太郎やアントニオ猪木は米国遠征中だ。
これが1年後だと豊登が日本プロレスを離脱しているし、2年後ならば日本プロレス界のエースとなった馬場が単独で登場している可能性が高い。3年後なら馬場と猪木が揃って登場というセンも考えられる。
この広告を読み込んでいくと、コピーの一つひとつが現在とは大きく違うことが分かる。
「天下無敵のプロレス四人衆・豊登・馬場・芳の里・吉村のスタミナ源はギネス。リング狭しと暴れ廻り、むらがる世界の強豪をブチのめすファィトは毎日のギネスから生まれる。ビタミン大量・カロリーも抜群、『ギネスの一ぱいは猛牛をも制す』と言われる」
まず、ギネスビールその物をあらわすコピーとして「スタミナのつくビール」ってのが凄い。味でもコクでも喉ごしでもない。
ビール酵母をたっぷりと含んだビールは消化や健康に良いというのは、よく知られた話。だが、スタミナ面の強化に良いという売られ方は、あまりされていない。今やアルコール業界は「低カロリー」「低アルコール」こそが正義とされる時代。
ところが笑顔のプロレスラー四人衆の写真をデカデカと載せたこの広告では「カロリーも抜群」とあるのが面白い。ダイエットなんぞクソ食らえ。まだ「滋養強壮」「カロリーが高ければ高いほど得」「太い=強い」というのが正義だった時代なのだ。
その後に続く「コク、ポップ、アルコールすべて豪奢(ごうしゃ=非常に贅沢で派手なこと)2倍」の文面も、ゴツいプロレス四人衆のイメージにピッタリだ。
撮影場所はおそらく、東京・渋谷のリキパレス地下にあった日本プロレス道場。練習後とおぼしき格好で、バーベルやら練習器具がゴロゴロと転がるリング周辺にて笑顔でビールを飲む四人衆の姿が微笑ましい。
何かと小うるさく、「社内コンプライアンス」なんて言葉もおなじみ。窮屈になるばかりの現代ニッポンでは、広告を作る側もクレーム対策が大変だと聞く。ツッコミどころ満載の広告ではあるが、現在の視点に照らし合わせると「職場で酒飲んでじゃねえっ!」とでも言われちゃうのかな?
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