FW香川真司(23=ドルトムント)のマンチェスター・ユナイテッド移籍決定が日本代表を直撃した。ブラジルW杯アジア最終予選ヨルダン戦(8日、埼玉)に臨む日本代表は5日、マンUの「香川と移籍合意」発表を受け、アルベルト・ザッケローニ監督(59)の取材が中止となるなど対応に追われた。また12日の同予選オーストラリア戦後の公表を望んでいた香川にとっても、発表は寝耳に水。早くもビッグクラブに振り回される格好になった。
チーム練習中の5日午後5時過ぎに移籍合意が伝えられると、日本代表は騒然となった。この日は練習後、ザッケローニ監督がヨルダン戦に向けた取材に応じる予定だった。ただチーム側は「話題が香川の移籍一色になるので、それを避けたい」と、指揮官への配慮から中止を決定した。
さらに香川とも対応策を協議。「チームメートに迷惑をかけたくないので、移籍に関する一切の質問を自分にもチームメートにもしないように」という本人の希望も考慮し、〝質問なし〟という異例の条件で、移籍について短く話した。
関係者によれば、香川は移籍について、代理人であるトーマス・クロート氏(52)とドルトムント、マンUに今月の最終予選3連戦が終わるまで一切、公表しないことを要望していたという。大事な最終予選を乗り切るため、自身の問題で代表に迷惑をかけたくなかったからだ。ところがマンU側は8日から欧州選手権が開幕することもあって、早期発表に固執。結果として香川の意向は無視され、望ましくないタイミングでの公式発表となった。結局、練習後は他の選手たちも香川のマンU移籍に振り回され、香川が懸念していた通りの〝騒動〟となった。
チーム、そして香川にとってこの騒ぎは大きな誤算。ヨルダン戦に勝てなければ香川が〝戦犯〟扱いされかねない状況となり、背番号10番はなんとしても結果を残すしかなくなった。