大飯再稼働決定、来週に先送り 関電 今夏、電力不足の公算大

2012.6.8 05:00

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 政府による大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働決定が、地元・福井県の同意手続きが進まないため来週以降にずれ込む見通しとなった。これに伴い、関西電力の供給力増強が夏場の電力需要期に間に合わない公算が大きくなった。関電は、梅雨明け(平年並み)と小中学校の夏休み入りが重なる7月21日以降に電力需要が増大する可能性が高いとみる。ただ、再稼働には6週間が必要で、逆算して今月10日頃が「期限」となる再稼働準備着手の日程は絶望的だ。

 梅雨明けはエアコン使用が増え、電力需要が高まる。近畿地方の梅雨明けは平年並みで7月21日頃。大阪市立の小中学校も同日に夏休み入りして子供が昼間在宅することもエアコン需要に拍車をかける。

 実際、関電管内で過去10年に最大電力需要を記録した日をみると、7月14日(2009年)、7月28日(04年)と7月が2回ある。需要量が2番目となった日でも7月に4回あり、いずれも21日前後に発生している。

 一方、原発の再稼働には作業着手から発電開始までは通常10日程度だが、今回は停止期間が長期化したため安全点検に時間がかかり、関電では通常の2倍以上となる3週間をかける。

 加えて、今回は同原発の全4基が停止している異常事態のため、通常は稼働中の他機から蒸気をもらって行う起動試験ができない。1基しかない補助ボイラーを使ってまず3号機を立ち上げ、次に4号機を動かすために計6週間かかる。

 作業着手が6月10日頃になれば、3号機は6月末に発電再開。4号機も7月20日頃には電力供給を開始でき、「需要が高まる前の再稼働にめどがつく」(関電幹部)はずだった。

 政府もこのスケジュールを視野に、週内にも野田佳彦首相の再稼働判断にこぎ着けたい意向だったが、前提となる福井県などの地元了解が進まず、もくろみが崩れた格好だ。

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