'12/6/7
灰溶融炉休廃止相次ぐ
家庭などから出るごみの焼却灰を高温で溶かし、ガラス状に固める灰溶融炉を休廃止する自治体が中国地方で相次いでいる。国が推奨したが、運営コストが高く、財政難の自治体には重荷となっている。発生したスラグの使い道がみつからず、埋め立て処分するだけの自治体もある。
灰溶融炉は、灰をスラグ化することで容積を半分以下に圧縮。灰をそのまま埋めるより処分場を延命でき、道路舗装材などへのリサイクルが期待された。
国は廃棄物を有効活用する手だてとして灰溶融炉の設置を自治体に推奨。誘導策として焼却場建設に補助金を交付する条件に灰溶融炉の併設を求め、全国で急増した。中国地方では、2010年度末時点で広島、呉、岡山など6市と、島根県益田、浜田両地区の広域組合で稼働していた。
広島市は03年、ごみ処理施設の中工場に約32億円を投じて灰溶融炉を設置した。だが年間の電力消費量は1100世帯分で、維持管理費は年約8億円。国が10年3月に廃止しても補助金返還を求めない方針を示したこともあり、火災事故を機に11年度末に廃止した。
岡山市は11年度、岡南環境センターの灰溶融炉を休止。市は「燃料コストが重い」。下関市は焼却場建て替えに伴い3年後に廃止する。
一方、運営を続ける呉市は10年度、灰溶融炉でできたスラグ約3600トン全量を埋め立て処分した。コンクリートなどへの再利用を探るが、実現できていない。そのため、市の同年度のごみリサイクル率は目標を達成できなかった。
【写真説明】リサイクルが進まず、スラグを全て埋め立て処分している呉市の灰溶融炉