明洞の場合、多くが既存のビルのリニューアルによる転業だ。ファッションビルをホテルに変える例が多い。外国人観光客が増えていることが最も大きな理由だが、もう1つは、ファッション業界の構造変化という背景もある。もともとこの一帯は、独自ブランドの小さな店舗がファッションビルに出店して、若者を中心とした顧客を集めていた。
しかし、ここ数年、ユニクロやフォーエバー21など海外発のファストファッションが人気を集め、独自の小型衣料ファッション店は苦戦が続いていた。明洞全体が「流行の発信地から外国人観光客の町」に急速に変化していることもあって、ファッションビルのオーナー側も、ホテルへの転業を相次いで決意しているようだ。
明洞以外でも、ソウルを東西に流れる漢江の南側の「江南地域」などでホテルの新規開業計画が相次いでいる。現在、ソウル全体では40以上のホテルが改装・建設中だ。ソウルでも不動産市場が全体的に沈滞している中で、ホテルだけは大建設ブームが続いている。
観光業界関係者によると、日本系のホテルの韓国進出計画もいくつかあるという。
外国人旅行者の急増でホテルの予約が取れない!
ホテル建設ラッシュが起きるのも当然のことだ。何しろ、ホテルが足りないのだ。ソウル在住の日本人にとって最も頭の痛い問題が、知人から「ソウルに行くのでホテルを予約してほしい」と頼まれることだ。それほどソウルでホテルを予約するのが大変になった。それもついここ数年の間にだ。
韓国では今年、外国人観光客が1000万人を突破する見込み(写真はソウルの夜の南山公園とNソウルタワー)〔AFPBB News〕
統計を見るとその事情がよく分かる。韓国を訪問する外国人数は、2008年には689万人だった。
ところが、2009年782万人(前年比13%増)、2010年880万人(同13%増)となり、2011年には980万人(同11%増)となった。わずか3年間で300万人も増えたのだ(韓国観光公社統計)。
もちろん、最も多いのは日本人だ。2011年の訪問者数は前年比9%増の302万人で断然トップ。全体の訪問者の34%を占めた。韓流ブームと円高で明洞一帯は日本語だらけだ。次いで中国人が同18%増の188万人で、23%のシェアを占めた。
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