与党セヌリ党の鄭夢準(チョン・モンジュン)元代表は3日にソウル・汝矣島の党本部で会見を行い「米国に依存する核戦略ではなく、われわれも核兵器保有能力を持たなければならない」と述べ「核武装」を大統領選の公約として掲げた。これは、今まで主張してきた米国による戦術核兵器の韓半島(朝鮮半島)再配備よりもさらに一歩踏み込み「北朝鮮の核を抑止するためには韓国も核武装すべき」とする、いわゆる「自衛的核武装論」だ。
鄭元代表は「北朝鮮は自分たちを核保有国と憲法に明記して内外に表明し、北朝鮮の核武装はすでに現実になった。これはつまり、北朝鮮の核廃棄はこれ以上、交渉の対象にはならないことを意味する」との見方を示した。鄭元代表は核武装が必要な理由について「(北朝鮮の核武装により)6カ国協議をはじめとする、これまで20年間かけて行ってきた韓半島の非核化に向けた外交努力はすでに失敗し“核のない韓半島”という究極目標は失われている。このような現実の中で、韓国は北朝鮮との関係を維持することに力を入れる政策を展開してきたが、これはすでに失敗に終わっているからだ」と述べた。鄭元代表はさらに「北朝鮮はすでに核兵器で武装しているが、韓国は相変わらず米国に依存したままの核戦略しか持っていない。そのため韓国も今すぐ独自の核兵器を持つべきで、それが難しいのなら、最低でも核保有能力は持たなければならない」と訴えた。その上で▲北朝鮮を核保有国として絶対に認めないこと▲2015年に予定されている戦時作戦統制権移管計画の全面再検討▲中国との戦略対話強化▲安全保障関連部処(省庁)間の有機的協力体制強化―なども同時に進めるべきと主張した。
これに対して政府は、戦術核の再配備や核武装に対しては否定的な考えを示している。韓国が核を持った場合、1991年12月に南北が採択した「韓半島非核化共同宣言」に基づいて北朝鮮に非核化を要求する大義名分がなくなるからだ。また、核不拡散の政策を進める米国など国際社会も、韓国が核開発能力を持つことは認めないとしている。これに対して鄭元代表は「韓国は貿易依存度が百パーセントに近いこともあり、国際社会の反対を押し切れるのか疑問視する見方もある。しかし今は、安易で無責任な考えでは自分たちを守ることができない非常事態だ」と反論した。