(CNN) 「華氏451度」「火星年代記」などの代表作で知られるSF作家の巨匠、レイ・ブラッドベリ氏が5日に米ロサンゼルスで死去した。91歳だった。出版社のハーパーコリンズが6日に明らかにした。
同社によると、ブラッドベリ氏は長い間闘病生活を送っていた。最期は安らかだったという。
ブラッドベリ氏はイリノイ州ウォーキガン出身。世界大恐慌の時代に仕事を求めて家族とともにロサンゼルスに移り住み、執筆活動を始めた。約50冊の著書や600編あまりの短編小説のほか、詩、エッセイ、オペラ、演劇など数々の作品を残し、ジョン・ヒューストン監督の名作映画「白鯨」の脚本なども手掛けた。
その作品にはATMの普及やカーチェイスの実況放送など、現代社会を予言したような内容も多数あった。2000年に全米図書協会賞、04年に全米芸術栄誉賞、07年にピュリツァー賞を受賞している。
オバマ米大統領は追悼の談話を発表し、「レイ・ブラッドベリ氏の作品のイメージは多くの米国人の心に焼き付いている。その物語の才能で我々の文化が再形成され、世界が広がった。彼の作品はこれからも多くの世代の創造性をかき立て続けるだろう」と述べた。
映画監督スティーブン・スピルバーグ氏は「彼はSFとファンタジーとイマジネーションの世界で生き続ける」と語っている。
ブラッドベリ氏自身は05年に発表したエッセイで、「晩年の私が鏡を見ると、幸せそうな人物がそこにいる」「その理由は、私が自分のために働き、執筆と創作からくる喜びのために働いてきたからだ。鏡に写った私の姿は楽観ではなく、楽観的な行動の結果だ」とつづっていた。