ナスダック株式市場を運営する米ナスダックOMXグループは6日、米交流サイト(SNS)大手フェイスブックのIPO(新規株式公開)に際し、技術的障害で一部の金融機関が被った損害について、総額約4000万ドル(31億7000万円)の「一度限り」の補償をする計画を明らかにした。
これは、5月18日のフェイスブック株IPO時の技術的問題で証券会社などが予想もしないようなポジションを持ってしまったことなどによって落ち込んだナスダックの評判を回復させるのを目的としたものだ。具体的には現金と株式取引手数料の割引という形で行われる。ナスダックはフェイスブック株のバリュエーションの急激な低下の責任はないとしている。
この補償計画実行には証券取引委員会(SEC)の認可が要る。また、この補償額は金融機関が主張している1億ドル以上という損失額を大きく下回っている。関係者によれば、この計画はライバル取引所の反発を引き起こす公算も大きいという。
ナスダックでのシステムトラブルにより、フェイスブック株の上場初日の取引は開始が30分遅れ、ブローカーは数百万株についてその注文の確認が取れなくなった。注文の結果が分かったのは2時間以上もたってからで、しかも一部のブローカーは予想外のポジションをナスダックから通知されて驚きの声を上げた。
補償計画では、損失を被った会員企業に合わせて1370万ドルの現金を支払う。このうち1070万ドルは初日の取引でのナスダックの収益金で、300万ドルは取引の混乱への補償として認められている上限。残りは6カ月間にわたる取引手数料の割引となる。当局によって規制されている取引混乱時の補償金300万ドル以上の金額を払えば、ライバル取引所から望ましくない前例になるとの懸念が表明される可能性がある。
計画については証券業界の自主規制機関、金融業界監督機構(FINRA)が監視し、申し立ての審査などを行う。ただ、FINRAは最終決定はナスダックがするとしている。
ナスダックによると、いくつかの基準を満たした補償申し立てだけが対象になり、「会員の断定的な決定に由来する損失」は対象外としている。ナスダックが適格としているのは、42ドル以下の価格での実行されなかった売り注文や、42ドルでの買い注文で、実行されたものの直ちに確認できなかったものなどだ。
ナスダックはまた、取引システムの見直しをIBMに依頼したことを明らかにした。