The Economist

天然ガス:世紀のシェールガスブーム

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(英エコノミスト誌 2012年6月2日号)

「ガスの黄金時代」は環境保護主義者が考えるよりクリーンなものになる可能性がある。

米国の「非在来型」ガスのブームは、人を驚嘆させてやまない。水圧破砕法(フラッキング)として知られる技術を使い、水と化学物質を浴びせて頁岩から天然ガスを生産する同国のシェールガス産業は、2005年から2010年にかけて年間45%のペースで拡大した。

 米国のガス生産全体に占めるシェールガスの割合は、2005年の4%から現在は24%に上昇している。米国は、どう処理していいか分からないほど多くのガスを生産している。貯蔵施設はすぐにいっぱいになり、米国のガス価格(石油と違い、ガス価格は地域で設定される)は急落している。

 先月は、ガス価格が100万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むまで下落した。これはブーム前の価格の6分の1以下で、生産者が採算ラインに乗せるには低すぎる水準だ。

多大な経済的利益をもたらすシェールガスブーム

 こうした問題は、それぞれ米国の4倍と6倍の代金をガスに支払っている欧州とアジアの国々なら喜ぶだろう問題だ。米国のガスブームは、大きな経済的利益をもたらしている。直接的、間接的に数十万人の雇用を生み出しているうえに、天然ガスから生産されるエタンを原料とする石油化学業界をはじめ、いくつもの産業を活性化させているからだ。

 増加する需要を考えると、ガス価格は今後数年間で上昇する可能性が高い。シェールガスに多額の投資を行っている石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルのCEO(最高経営責任者)、ピーター・ヴォーサー氏は、2015年には価格が2倍になると予想する。

 それでも、米国の価格は欧州とアジアの価格より安いままだろう。そのため、米国のガス業界はまだ成長するはずだ。

 米国は、今後1世紀以上にわたって現在の生産ペースを維持するだけのガスを保有していると推定されている。

 これは驚くべきことだ。ほんの5年前、米国はガスの一大輸入国になると見られていた。2000年から2010年にかけて、米国は1000億立方メートルを超える輸入液化天然ガス(LNG)を再気化するためのインフラを建設した。ところが2011年には、LNGの輸入量は200億立方メートルに満たなかった。

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