さらに僕が「民主党は無理だとは言ってない」と問うと、前原さんは「昨年の参院選のマニフェストをまとめる時、当時の政策責任者たちの間では、最後まで、15兆3000億円の財源の根拠が希薄であると難色を示したと聞いています。これも最後は小沢さんの『エイヤ!』だったわけです」と答えたのだ。
ここからが今回一番問題となった発言だが、彼は「仮にこのまま民主党が政権を取っても大変です。私は『君子豹変』しないかぎり、まともな政権運営はできないと思いますよ。今、民主党が最もしてはならないのは、国民に対して耳触りのいいことばかり言っておいて、仮に政権を取った時に『やっぱりできません』という事態を招くこと。そして『やはり民主党の言っていたことは夢物語だった』と思われて、すぐに自民党に政権が返ること。これが最悪です」と語った。
去年の参議院選挙の民主党のマニフェストに書かれている3つの公約の15兆3000億は一体どこから捻出するのか。
僕はこの質問を、民主党の中堅以上の議員、何人にも聞いた。「何人にも」というのは、20人近くだ。そして、その20人近くの民主党の議員が前原さんと同じ答えをしている。
今回改めて『中央公論』で前原さんに15兆3000億の出所について聞いて、民主党の20人近くの議員と同じ、前述の答えが返ってきたとうわけだ。
この前原さんの答えに対して、同じ民主党の、筒井信隆さん、篠原孝さん、山田正彦さんらが、「妄言だ、退場を勧告する」と批判した。
「『退場』を勧告する」というのは、つまり、「議員辞職を迫った」というのと同じである。
筒井さんのことは僕もよく知っているが、彼がなぜこんなことを言うのか、僕には全くわからない。
「妄言だ」と批判された前原さんの発言は、「妄言」ではなく、「正論」だと僕は思う。
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