大阪の橋下徹市長は原子力発電所の再稼働から市役所職員の入れ墨にいたるまで、多くの問題に対する多彩な――また異論に満ちた――見解を述べることで、橋下氏を信奉する政治家や記者らを魅了してきた。ここにきて橋下氏は賛否の分かれる日銀の独立性に関して強い関心をみせている。
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- 橋下徹市長
政界で今最も注目されている橋下氏はここ数週間、金融政策に対する見解をツイッターで徐々に明らかにしてきており、政策おたくの間で話題になっている。手練手管に長けた政治家らしく、橋下氏は慎重にコメントを書き、決定的な結論は明らかにしていない。しかし橋下氏の考えを拾うのは易しい。橋下氏の見解は、日銀に対して決してフレンドリーではない、ということだ。
Japan Real Timeは、橋下氏によるコメントの要旨を以下のようにまとめてみた。
・日銀ではなく政治家が金融政策の最終決定をすべき
・超低金利政策下の景気刺激策としては非伝統的な手法である量的緩和は経済成長にとって効果的だ
・名目GDP(国内総生産)を伸ばすためにインフレ目標の設定は有効
・積極的な景気刺激策の提唱者であるポール・クルーグマン氏は日銀寄りの日本のエコノミストより、もっと尊敬されるべき
橋下氏は4月、ツイートのなかで「朝日も毎日も日銀人事に政治が口を挟むなって言うけど、そうであれば金融政策について誰が最終の責任をとるの?」とコメントし、続けて「日銀だっていつも正しい判断をするわけではない。じゃあ金融政策の失敗の責任者は誰?最後は政治でしょう」と訴えている。
橋下氏は、小泉純一郎政権の政策チームのエコノミストとして中心的役割を果たしていた高橋洋一氏から金融政策についてアドバイスを受けていることを明らかにしている。
現在、嘉悦大学の教授を務める高橋氏は日銀に批判的なことで知られており、長い間インフレ目標の設定と積極的な量的緩和の実施を訴え続けてきた。元財務官僚の高橋氏は1998年から2001年まで、現在の米連邦準備制度理事会(FRB)議長、ベン・バーナンキ氏が当時教鞭をとっていたプリンストン大学で金融政策を学んだ。高橋氏はバーナンキ氏の著作の翻訳もした。非伝統的な緩和政策について、バーナンキ氏よりもさらに熱意のこもった提唱者であるクルーグマン氏もプリンストンの教授である。
橋下氏が金融政策に対する見解を披露し始めて数週間後、日銀はサプライズ人事を発表した。新しい大阪支店長に、将来の総裁との呼び声も高い雨宮正佳氏を起用したのだ。
政策ウォッチャーらは、若くて雄弁な橋下市長対策の秘密兵器として雨宮氏が大阪に送り込まれたと憶測をたくましくしている。日銀の広報担当者は、雨宮氏の移動は定期的な人事異動の一環だと説明している。
日銀は結果も出せない、「もうできることはない」などといっているのであれば、無能を自ら示したのだから、日銀の従業員はあんなに給与をもらうべきではない。
責任をどう果たすのかも曖昧だからそこを橋下のような人物にやらせるのは良いことだろう。