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被害届を出さない市への不信

2012年05月07日
 石巻災害復興支援協議会の伊藤秀樹前代表理事による架空請求疑惑が被災地に波紋を広げている。3億円を超す巨額詐欺疑惑の解明には、石巻市議会調査特別委員会(百条委員会)の設置が避けられない、とする意見が多勢を占める一方で、隠蔽の指南役も暗躍。刑事告発の権限を持つ百条委員会の設置を回避するため、監査委員会による監査で追及の手から逃れようとする動きがあり、石巻市役所庁内は不穏な空気に包まれている。
 監査委員による調査は一見して疑惑解明に十分な効果を持つように見えるが、しかし、そこには裏がある。石巻災害復興支援協議会の会計監査人である矢川会計事務所の矢川昌宏氏は、石巻市監査委員会の一人であり、住民監査請求を起こしたところで、同協議会の監査人が監査したのでは、現実、公正な調査は行われないというわけだ。指南役の狙いは、あえて住民監査請求を起こさせることで百条委員会による調査を求める世論の高まりをかわし、後はうやむやにしてしまおうという魂胆だ。やらせ住民監査請求で世間をペテンにかけ、百条委員会の設置までは必要ないという世論を作り、あとは、仲間内でごまかそうという目論見だ。
 こうした動きに対して、インターネット上には徹底究明を求める声が相次いでいる。未だ多くの市民が震災の傷跡から立ち直れないでいる中、「火事場泥棒」「焼け太り」のような卑劣な行為は絶対に許されるものではない、というものだ。
 石巻ではいまだ多くのボランティア組織が活動しているが、同協議会以外に随意契約でボランティアの管理運営費をもらった組織は存在しない。同協議会以外は全員が手弁当や募金活動等、自らが汗して活動資金を捻出している。
 一方で、いったいなぜ、同協議会に数億円の重機車両が無償で貸し与えられ、随意契約で数千万円の公金が渡されることになったのか。
 同協議会の幹部は、石巻青年会議所のOBらで構成されるが、無償奉仕を装い、全国から支援に駆けつけたボランティアを騙し、いったい、どれほどの報酬を手にしていたのか。事実が闇に葬られることがあったら、石巻の復興は有り得ない。痛くない腹を探られたくないのであれば、石巻市はさっさと同協議会を刑事告発すべきではあるまいか。司直の手で解き明かしていただくのが一番の近道である。それとも、刑事告発できない理由があるのか。
 地震と津波による石巻の死者行方不明者は4000人に上る。多くの市民が職を失い、今なお、先のみえない暮らしにあえいでいる。
 週刊文春を読んだ市民の一人は言った。「亡くなった人、残された人、多くの被災者を侮辱しているようなもの。人の不幸を食い物にするような行為は絶対に許されるものではない。こんなことをしていたら、真っ当な死に方はしない。」
 このところ、多くのボランティアが石巻を見捨て、東松島市や女川にボランティア活動の地を移しているという。石巻災害復興支援協議会のボランティア詐欺疑惑の影響は計り知れない。
 支援に誠心誠意答えるためには、早急に膿を出し切ることが、何よりも急がれる。争点は、いったい、誰が、伊藤秀樹氏を石巻市の災害対策本部の会議に出入りさせるようにしたのか、そして数あるボランティア団体の中から同協議会だけを業務委託先として随意契約を結び、数千万円の公費を握らせたのかということだ。
 そのカラクリは「一般社団法人」の設立にありそうだが、一般社団法人には、法的義務がある。市議会議員のみなさんには、その辺をよーく勉強して疑惑解明に努めていただきたい。

http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO048.html

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