お気に入りのはんてんを着て取材に応じる尾崎紀世彦さん=2007年12月【拡大】
大ヒット曲「また逢う日まで」などで知られる歌手、尾崎紀世彦(おざき・きよひこ)さんが5月31日午前0時5分、肝臓がんなどのため東京都港区の病院で死去したことが1日、分かった。69歳だった。
約10年前から一昨年まで、ツアーに同行するなど生活の大半を共にした関係者が、尾崎紀世彦さんの“素顔”を振り返った。
(1)方言の名人 ツアーで訪れる先々で、ステージ上から必ず「ご当地言葉」で語りかけた。まるで地元出身者のような発音に、ファンは大喜び。あまりに自然な発音のため、いつ覚えたのか尋ねると、尾崎さんは「方言はね、メロディーとして覚えられるんだよ。耳から入ってくる」とサラリ。独特の音感の持ち主だった。
(2)好物はラーメン 麺が細く、しょうゆ味の、昔ながらの「中華そば」がお気に入りだった。地方に行き、地元でも評判の店を紹介されると、厳しいスケジュールにもかかわらず、タクシーで片道2000円以上かかる距離でも、迷わず足を運んだ。
(3)体力作りと自己鍛錬 陰での努力を惜しまず、腹筋やふくらはぎなど、いつ、どこででも筋力維持に努めていた。地方公演続きの長期のホテル生活でも、夜、食事をとった店で2リットルの空のペットボトルをもらい、ホテルで水を入れてダンベル代わりにした。普段は、両足首にそれぞれ2キロの重りを付け、歩く日常だったという。
(4)みこし担ぎが趣味 根っからのお祭り好きで、特にみこしを担ぐことが大好き。東京・浅草の三社祭や、神田明神の神田祭でも担いでおり、肩にできた“担ぎダコ”を手術で取ったこともあるという。普段着の上から祭りはんてんを羽織っていた。高い位の氏子が着る格式高いはんてんを持っていたのが自慢で、「これは、上から2番目の位なんだぜ」と嬉しそうに話していた。
(5)馬面をバチン ヨットやサーフィンもプロ級だったが、乗馬も見事な腕前。山梨・小淵沢で初めて乗った馬が言うことを聞かなかったとき「なめられるとダメだから」と鼻面を叩いた。その後、尾崎さんの言うことを聞くようになり、周囲も感心したという。
(紙面から)