■サムスンの“遅延行為”にペナルティー
現在両社は、7月30日に予定される公判に向け、訴訟に関連する特許の確定や争点の整理作業を行っている。その中で、陪審員に特許の内容を説明するための権利範囲の調整を裁判所が行ったが、ここでアップル側が有利になるような解釈が裁判所により行われるなど、現時点ではサムスンが若干不利な立場に立たされている。
また、サムスンは7月30日の公判を先延ばしにし、その間に入念な準備をしようと狙ったのか、アップルが求める証拠を提出しなかったり、また米国での裁判にもかかわらず韓国語で書かれた書類を証拠として大量に提出したりと、遅延行為と取られかねない行動を見せている。5月4日にはその行為の1つにペナルティーが与えられ、インターフェースに関する特許について、サムスンは反論や新たな証拠の提出ができなくなった。
アップルの訴訟に対抗するための反訴の内容では、サムスンは、同社が持つ3G(第3世代携帯電話)通信の業界標準技術に関する特許を中心にアップルと戦っているが、現状はこの戦略が成功しているわけではない。こうした標準技術に関する特許はこれまで、誰にでも公平に、リーズナブルなライセンス料で提供することが業界内で求められており、訴訟に使って相手をやり込めることには使われてこなかったからだ。
この経過を見ると、大きな進歩がなくこう着状態ながらも、状況はアップルに対してサムスンよりやや有利に動いているように見える。今後、サムスンが打開策を見出すのか。裁判の行方に注目したい。
(日経デザイン 丸尾弘志)
[日経デザイン2012年6月号の記事を基に再構成]
アップル、ティム・クック、サムスン電子、崔志成、CEO、スマートフォン、タブレット端末、特許、裁判、和解
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