2012年02月11日

パピーウォーカー

わたしは2010年11月から2011年11月まで九州盲導犬協会から

盲導犬候補犬の育成を委託された。




生後8週間の候補犬を 1歳前後になるまで自宅で飼育する

パピーウォーカーというボランティアです。




もちろん私達家族がパピーウォーカーとなることを希望し

育成にかかる費用を全額負担すること

協会が作成した飼育委託規則、確認書などに従うことを

証し書類を作成し 協会と取り交わしました。




それらの書類には 

協会の指示に従い 善良な管理者の注意を持って飼育管理をする

運動、食餌、その他健康管理を適切におこなう

そのた詳細にわたり飼育していくための指示が記入されています。




また自宅訪問を受け候補犬の適切な飼育のための場所を確認されます。


ケージを置くのに適している場所(リビング壁側)

室内における排泄の場所(リビング角地)の確保及び指導を受けました。




盲導犬は厚生労働省が認定している ほじょ犬 ←クリックでHPへジャンプ

ですから 一般の店舗、公共施設、交通機関を利用します。


その時に周りの方にご迷惑を掛けないように 毎日ブラッシングをして

最低でも月に1度はシャンプー(夏場は2週間に1回)をします。


盲導犬候補と言えども動物ですから 初めはブラッシングを嫌がります。


パピーウォーカーは協会の指導のもと 根気強くブラッシングを

続けます。


初めは 毛の絡まりをほぐす金属製ブラシ

二番目は抜け毛を取りながら 皮膚の血行を良くするラバー

三番目はツヤをだす豚毛ブラシ

最後はタオルをお湯で濡らし 固く絞ったもので 全身を拭き上げます。



候補犬は 嫌がれば「ノー」と落ちついた声で叱られます。



最後まで大人しくブラッシングを受け入れたら「グーット」と

誉められ沢山ナデナデしてもられます。




盲導犬は血を大切にしています。


全国にいる繁殖用盲導犬を交配させ より盲導犬に適している命を

計画的に増やし 視覚障害者のために8〜10年程一緒に働いてもらいます。



一般的に犬は1回のお産で6〜10頭の子犬を産みます。

ですからパピーウォーカーが10人程集まったところで

始めて交配計画をたてます。



どの仔犬も 正しく生後8週程から1歳になるまでをパピーウォーカーの

元で育成されます。


パピーウォーカーに渡されない命は1つもありません。




食餌は 協会により数種類のフードを指定されるので 決まったフードだけを

食べさせます。

オヤツのようなものはあげません。


いろいろな事が上手にできて ご褒美をあげたい時は

フードを計り きょうの分の中から 数粒あげます。




候補犬はお腹が弱い仔が多いです。

環境が変わったり フードが変わったり 牛皮ボーンなどをあげて

しまうと直ぐに嘔吐、下痢をします。




室内でもそうですが 外に出て落ちているものを食べると

命に関わる大問題です。



道端の匂いを嗅いではダメというのは 

あっちこっちへ行って 一緒に歩く使用者を危険にさらすのを防ぐと

同時に拾い食いをして 盲導犬が病気になるのを防ぐ意味があります。



パピーウォーカーは 生後数ヶ月の候補犬に対しても命を守るために

落ちている物に鼻を近づける行動に気づいたら

リードを一瞬強く引き(一瞬痛い思いをさせる)「ノー」と大声で叱ります。




食餌は決まったお皿に 決まった量のフードを入れ「ダウン」と命令し座らせます。


数秒でもきちんと座り 「ウエイト」待つことができ

こちらと目線が合えば「オッケー」と言い お皿を手に持ったまま食べさます。


全部きれいに食べたら「グーット」で沢山ナデナデしてあげます。




犬にとっての一番大好きな時間 食餌の時に これらの言葉を使うことで

候補犬は人間の言葉を覚えてくれます。


違う場面でもこの言葉を使うと 候補犬はちゃんと指示に従ってくれます。



候補犬は使用者の指示の従い よくできたねと「グーット」と

誉められ ナデナデされるのが大好きなのです。




パピーウォーカーは フードの量をきちんと守ります。

毎回 料理用の計りにフードを載せ 候補犬の月齢に合わせて与えます。



生後6ヶ月以内ならば 1週間から1月単位で 5グラム単位で

フードの量を増やしてあげます。



わたしの場合 動物病院で器具を使い体脂肪を計ることもありましたが

1回だけ 体脂肪が多いと言われました。



器具を使わないなら 手のひらであばら骨を触り 骨が確認できれば

犬にとっての最良の状態だそうです。




ついでに Wikipediaよりコピペ

「盲導犬は忠実に働かされるストレスのために短命である」という俗説が存在するが、これは誤りである。

全国盲導犬施設連合会が2006年7月24日付の毎日新聞にて発表したところによると、盲導犬の平均寿命について初の全国調査をした結果、約13歳という結果が出た。

これは平均的なペット犬の寿命よりも1歳ほど長い。

調査は全国にある独立した9盲導犬施設のうち、8施設を対象に、盲導犬413頭の平均寿命を算出したもの。

一方、飼い犬は東京農工大大学院の林谷秀樹助教授らが3,239頭を調べたもので、平均寿命は11.9歳であった。

盲導犬は仕事の性質上、ペット犬よりも健康管理に気を配られていることが理由と推測されている。





パピーウォーカーは 蚊が運ぶ病気 フィラリアから

候補犬を守るために 4月から11月までの間は 毎月一度

薬を投与します。


またノミ、ダニ駆除の薬を2ヶ月に1度使い

貧血、化膿、アレルギー皮膚炎、バベシア、ライム病から

候補犬を守ります。 






候補犬が 立派な盲導犬になれるように 毎日毎日繰り返して教えました。


候補犬は パピーウォーカーの手元をはなれ協会に戻ると

いままで覚えてきたことをフルに生かし それ以上の専門的な訓練を受けます。


わたしがお世話させていただいた候補犬は ちょうどいま訓練を受けているところです。


訓練の順番が来るまでケージのなかで おとなしく寝ているそうです。


人が近づくと「訓練に連れて行ってー」というように

シッポをいっぱい振ってアピールするそうです。




フリスビーをする犬と一緒だなと思います。


投げるまではウエイト(待つ)して ご主人が投げてくれたらゴー(行け)

キャッチして帰ってきたらグーッド(よしよし良い仔だね)と誉められて

嬉しい!!!


「上手にできて わたしって良い仔でしょー」って盲導犬は思いながら

生活しているのではないかな?




わたしのパピーウォーカー生活で 候補犬と協会からそう教えてもらった気がします。

も〜う 候補犬は 食べちゃいたい程カワイイです。





盲導犬の利用者さんも 目が不自由ながら 私達と同じように

いやそれ以上にお世話できるように 協会に4週間泊まり込みで

訓練を受けるそうです。




犬との生活 息がぴったりとあって行動できるまでに 何ヶ月くらいかかるでしょうか?



いがいと誤解されていることといえば

「どうやって目的地までたどり着くのか」という疑問です。



利用者さんは自宅と目的地までの 角の数と次ぎに進む方向を暗記しているんです。


盲導犬は道の角に着たら立ち止まります。

「ゴー」(進め)の言葉に反応し 次の角まで進み立ち止まります。

この繰り返しなんです。


利用者さんは「何個の角を通り過ぎたから、次の角で止まったら左だ」と

自分の頭のなかで地図通りに数えているそうです。



年齢が上がるごとに目に係る病気の発症率も高くなるそうですが

高齢になってからの 盲導犬利用はとても大変だと想像できます。



白いハーネスで繋がっている盲導犬と利用者は

お互いにとても頑張り屋さんなんですねー。







今回の記事は 長崎県盲導犬失踪と関係ありません。

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Posted by ばあや 又の名をパピママ at 01:21│Comments(0)TrackBack(0)

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